この記事は、日本にいる外国人と国際結婚したい人向けの内容です。
日本に住む外国人と国際結婚をするときは、相手の外国人が「配偶者ビザ」を取得することを目的として、あなたと結婚するリスクを考える必要があります。
詳しくは後述しますが、外国人が日本に長くいたいと考えた時、最も手軽なのが「日本人と結婚」して、「配偶者ビザを取得」することなのです。
本記事の内容は、主に日本人男性が対象になりますが、最近は日本人女性をターゲットにした事例も耳にするようになりました。
日本にいる在日外国人との国際結婚を考えている方は、ぜひ最後までお読みください。
【前文】国際結婚のリスクってなに?
外国人との接点が増えている
日本に長期滞在する在日外国人は年々増加しています。
周囲を見渡しても、ひと昔前に比べて、明らかに外国人の割合が増えましたよね。
職場や学校で、実際に外国人と接する機会があるよ!という人も多いでしょう。
学校や職場に外国人の学友や同僚がいる。接客をしてくれたのが外国人だった。電車で隣の席に外国人が座っていた。このようなことは、もはや日常になりました。
ちょっと前まで「外国人」と聞くと身構えた人も多かったですが、今では外国人を見ただけで驚く人は、ほとんどいないように思います。
外国人が身近な存在になると、日常生活での接点が増えますから、様々な交流が生まれます。中には恋愛関係に発展することもあるでしょう。
恋愛関係が進展すれば、その先には「結婚」が待っています。いわゆる「国際結婚」ということになりますね。
国際結婚には心理的抵抗がある?
「オレさ、外国人の彼女と付き合ってるんだ」
このように外国人との交際を聞くと、ものすごく興味がわきますよね。
どこの国の人なのか、普段は何をしている人なのか、どこで知り合ったのか。疑問が尽きないと思います。
でも、次のように話を切り出されると、どうでしょう?
「オレさ、外国人と国際結婚したんだよね」
さっきと同じで、興味がわいたよ!という人もいるでしょう。
でも、「…え、国際結婚したの?…大丈夫?」と心配した人も、同じくらいの割合でいるのではないでしょうか?
とある民間団体の調査では、「外国人も恋愛対象である」と回答した20代男女の割合は約70%にも上るのに対して、実際に国際結婚しているカップルは、全体のわずか6%にしか過ぎません。
どうして国際結婚するカップルの割合は、こんなに低い水準なのでしょうか?
これにはいくつかの原因が考えられます。パッと思いつく限りでは、次のような理由がありますね。
- 外国人との文化の違いや、言語問題がむずかしそう…
- 国際結婚をしたいと言ったら、両親に反対された…
- 国際結婚というと、どこか怪しい印象がある…
どれが正しい、どれが間違っている、という訳ではないのですが、「日本人男性」に限っていうと、「③怪しい」という理由が多いのではないでしょうか。
というのも、バブル期から2005年頃にかけて、外国人女性が日本人男性を騙して行われる国際結婚(偽装結婚)が、社会問題となったことがあったためです。
配偶者ビザの取得を目的とした国際結婚
外国人が日本人と結婚すると「配偶者ビザ(正確には「日本人の配偶者等」といいます)」が取得できます。
この配偶者ビザの取得を目的とした「偽装結婚」が流行したことがあったのですね。
一般的に、外国人が日本で就労する場合には、高い専門的知識や技能、そしてビジネスレベルの日本語能力が必要になります。そのハードルは決して低くありません。
しかし、配偶者ビザがあると、日本での自由な就労が可能になります。日本人と同等の職業選択の自由が認められて、かなり自由な職業活動が可能になります。
また、日本人と結婚すると、日本の永住権が取得しやすくなるという側面も見逃すことはできないでしょう(日本居住要件が10年から3年に短縮)。
つまり、配偶者ビザを取得すると、次のようなメリットがあるということになります。
- 日本での就労の自由を確保できる
- 安全な日本に永住できる権利を取得しやすくなる(結婚後3年で取得)
こうした「配偶者ビザのメリット」を目的に、ビザを取得するためだけに、日本人と結婚することを「偽装結婚」といいます。
偽装結婚には、次の2パターンがあります。
- 日本人は偽装結婚であることを知って、名義だけを貸しているケース
- 日本人本人は恋愛結婚していると思い込んでいるケース
ビザ目的の偽装結婚をされてしまうと、おそらく外国人女性は、夜のお仕事に出っぱなしになり、夫婦間交流はほとんどないという結婚生活になると思います。
さらに、3年を経過して永住ビザを取得すれば、離婚を迫られる可能性も高いでしょう。
外国人のビザ(在留資格)を見れば、リスクを回避できる!
ビザ目的の偽装結婚は、一時期に比べ減少しましたが、ゼロになったわけではありません。
それでは、これから国際結婚をする人が、ビザ目的の偽装結婚に巻き込まれないようにするには、どんな部分に気をつければ良いのでしょうか?
その答えは「相手の外国人のビザ(在留資格)に注目する」ということです。
ビザ(在留資格)とは、日本での活動を許可するものですが、逆にいえば「日本での活動範囲を制限されるもの」なのです。活動が制限されていれば、中には自由を求める人が出てきたっておかしくありません。
結局、配偶者ビザの取得を目的とした偽装結婚は、日本での活動が窮屈であるため、自由を得る目的で行われるモノなんです。
ですから、相手の外国人のビザ(在留資格)を理解し、リスクが低いビザの外国人とだけお付き合いをすれば、トラブルに巻き込まれることはほとんどないということになります。
国際結婚安全ビザランク第3位 在留資格「留学」
在留資格「留学」って?
在留資格「留学」で日本にいる外国人は、「留学生」と呼ばれる人たちです。
留学生の多くは「日本語学校⇒大学等(専門学校・短大・大学・大学院)」と進学して、卒業後は「日本で就職 or 母国に帰国」します。
留学生は遠い異国から日本にやってきて、一生懸命に日本で勉強しています。留学費用(学費や生活費など)を自分で稼ぐ人も珍しくありません。
留学生の就労は禁止されていますが、週に28時間以内(長期休暇中は、週5日40時間以内)の「アルバイト」は認められています。私たちが普段、居酒屋さんやコンビニなどで見かける外国人は、こうした留学生であることがほとんどでしょう。※アルバイトをするためには、入管庁から特別な許可を得る必要があります。
約8割もの留学生がアルバイトに従事しているというデータがあります。一部の富裕層(近年では中国からの留学生)以外は、基本的にアルバイトをしていると思っていただいて問題ありません。
出稼ぎ留学生は大変危険
さて、実はアルバイトをしている留学生は、大きく2つのタイプに分けることができます。
その際、「アルバイトをする目的」に注目すると、理解しやすいと思います。
タイプ1 アルバイトは生活費の足し。日本文化の習得のため。
タイプ2 アルバイトで稼ぐ!学費が足りない!母国に送金!
本来、留学生は「日本で勉強すること」が目的のはずです。ですから、圧倒的にタイプ1の留学生が多いことはご想像の通りです。
しかし、中には「出稼ぎ留学生」といって、「日本で働くこと」が目的になっている、タイプ2の留学生がいるんですね。
出稼ぎ留学生とは、週28時間以内というアルバイトの制限時間を超えて就労し、本来は勉学に努めるべき時間も、アルバイトに従事する外国人のことをいいます。
来日前から日本で稼ぐことが目的だった人もいれば、留学エージェントや日本語学校に騙されて、やむなく長時間のアルバイトをしている留学生もいます。
出稼ぎ留学生になる要因は色々です。自発的に手を染めるケースもありますが、同情の余地があるケースも多いのが実態なんですね。
必ずしも、「出稼ぎ留学生=悪い人」ではないのも事実でしょう。
しかし、一律して言えるのは「出稼ぎ留学生は、国際結婚の相手としてふさわしくない」ということです。
というのも、出稼ぎ留学生の場合、日本で稼ぐことが日本に滞在する目的です。彼らにとっての理想的な状態とは、「日本に長く滞在」でき、「就労の制限がなくなる」というシチュエーションに他なりません。
その理想的な状態は、日本人と結婚することで取得できる在留資格「日本人の配偶者等」を取得することで、意図的に作り上げることができてしまいます。
出稼ぎ留学生との国際結婚は、配偶者ビザの取得を目的とした結婚につながりやすいということが、お分かりいただけるのではないでしょうか?
この意味で、出稼ぎ留学生との国際結婚は、絶対に避けるべきなのです。
2019年4月、新しい在留資格「特定技能」が創設されました。従来、出稼ぎ留学生として来日していた外国人層が、特定技能での来日する方向にシフトする可能性が高いと考えられます。今後の流れに要注目です。
普通の留学生なら問題は少ない
出稼ぎ留学生との国際結婚は、大変リスクが高いものですが、普通の留学生との国際結婚であれば、まったく問題はありません。
日本語が堪能な留学生は、ある程度勉強している学生さんなので、普通の留学生であることが多いです。一定水準以上の日本語力が必要とされる「大学生・大学院生」の留学生も、普通の留学生でしょう。
アルバイトの頻度と日本語レベルを合わせて、総合的に見れば判断は難しくないと思いますよ。
国際結婚安全ビザランク第2位 在留資格「技術・人文知識・国際業務」
更新回数に定めがない就労ビザ
圧倒的に占有率が高いので、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を挙げましたが、”更新回数に定めのない””就労ビザ”全般を指しているとお考え下さい。
更新回数に定めがない就労ビザは、国際結婚のリスクがかなり低いと言えます。在留資格「高度専門職」「教授」「教育」「技能」「企業内転勤」などが該当します。
この記事の冒頭でもご紹介したとおり、配偶者ビザ目的の国際結婚は、外国人が「日本での自由な就労」を希望していることがほとんどです。
就労ビザを持ち、現に働いている外国人が、就労目的で配偶者ビザを取得するメリットは、ほとんどありません。
就労ビザでも、更新回数に定めがある(最長5年しか滞在できない)就労ビザ「技能実習」「特定技能1号」は、ここには含まれませんので、ご注意ください。
永住ビザを目的としているケース
しかし、就労ビザを持っている外国人との国際結婚であっても、リスクがゼロかというと、そうとも言い切れない面があります。
極まれにですが、就労ビザを持ちながら、手っ取り早く「永住ビザ」を取得したいという下心から、日本人と結婚するケースが存在するためです。
永住ビザの取得要件の一つに、「日本に継続して10年以上滞在している」という居住要件があるのですが、日本人と結婚することで、この居住要件が「3年」に短縮されるのです。※配偶者ビザを取得する必要はなく、「日本人と婚姻関係」にあれば要件をみたします。
異性関係が派手な外国人の場合や、性格が誠実でない外国人の場合には、念のため用心した方が良いかもしれませんね。
下手をすると、永住ビザに切り替えたと同時に、離婚を切り出されてしまう可能性も、ゼロではありません。
国際結婚安全ビザランク第1位 在留資格「永住者(永住ビザ)」
堂々の1位は、在留資格「永住者」(いわゆる「永住ビザ」)です。
永住ビザを持つ外国人との国際結婚は、ビザ関連のリスクを疑う必要はありません。
というのも、永住ビザを持っている外国人は、日本において、ほぼ日本人と同等の生活をすることができるためです。日本人と同様でない部分もありますが、選挙権や被選挙権がない点や、公務員への就職ができない点など、ごく一部に限られます。
永住者の外国人が、日本人と結婚したいという場合には、純粋な気持ちからの行動です。もちろん、国際結婚をする難しさや、それ相応の事前準備は必要になりますが、少なくとも恋愛感情からの結婚であることには間違いありません。
番外編
番外編では、TOP3で語ることができなかった内容について、補足していきますね。
在留資格「技能実習」
一つ目は、在留資格「技能実習」です。
何かと話題に上がることが多い技能実習生ですが、国際結婚の対象としては、慎重になったほうが良いと思います。
そもそも、実習期間中の恋愛は禁止されていることが多い(受入機関との契約)ですし、実習期間中に結婚しても、配偶者ビザを取得することはできません(一度、母国へ帰国する必要あり)。
技能実習生との国際結婚案件については、受付を拒否する行政書士事務所が多いことからも、むずかしい案件であることがお判りいただけると思います。
在留資格「日本人の配偶者等」
二つ目は、在留資格「日本人の配偶者等」(いわゆる「配偶者ビザ」)です。
配偶者ビザを持った外国人との国際結婚は、本当に慎重になるべきですよ。
お相手が「配偶者ビザ」の場合、それは「日本人との離婚経験者」であることを意味しますが、日本人と離婚したら速やかに、「配偶者ビザ」以外のビザへ変更しなければなりません。
元・日本人配偶者との間に子どもがいたり、婚姻期間が3年以上であったりすれば、「定住者ビザ」に変更できる可能性があります。その要件をみたさなければ、「就労ビザ」を取得する必要があります。
ただし、就労ビザの取得は、学歴要件などがありますから、取得のハードルは決して低くありません。
もしも、就労ビザの取得が難しそうだったら…?
残る選択肢は「日本人と再婚」して、あたらしい「配偶者ビザ」に切り替えるというものがあります。…この場合には、完全にビザ目的の結婚ですよね。
もっともリスクが高いビザと言えると思います。
帰化した外国人
最後は、帰化した外国人についてです。
帰化した人は、帰化した瞬間から日本国籍を取得できますから、正確には外国人ではなくなります。正真正銘の日本人です。
日本人ですから、日本に滞在するための在留資格は必要ありません。
当然ですが、ビザ目的の国際結婚などあり得ませんよ。日本人同士の結婚と全く同じです。
国際結婚で安全な在留資格(ビザ)~まとめ~
いかがでしたか?
在留資格を見れば、日本で許可されている活動範囲が分かります。
そこから、お相手の結婚意図というものが、なんとなく見えてくるのです。
国際結婚をする場合、ある程度の在留資格の知識は必要になってくるでしょう。
今のうちから、少しずつ調べておくのも良いかもしれませんね。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!