あなたは、日本の永住ビザについて、正しい知識を持っていますか?
そもそも日本における永住権って、どういうものか正確に説明できますか?
これは当たり前のことで、知識がなくても困らないのであれば、その知識について勉強していないのは、とても自然なことです。
ただ、この記事をご覧いただいているということは、これから永住権を取得しようかと、検討しているのではないでしょうか?
この段階になったら、正しい知識を身につけて、ムダのない行動を取っていった方が、あなたやパートナーの方にとって、必ずプラスになりますよ。
後述しますが、間違った知識で永住権の申請を行うと、最悪1年前後の時間が失われる可能性もあります。
あなたやパートナーの方が、正しい選択ができるように、この記事ではサポートさせていただきます。
♥正しい行政書士の選び方が丸わかり!
永住申請の審査は、大変厳しく行われています。少しでもご不明な点・ご不安な点があれば、行政書士の利用を強くオススメします。
1.日本の永住権とはどんなもの?
そもそも日本の永住権ってどんなものなのでしょうか?
- ずーっと日本に住み続けることができる権利?
- それとも、永久に日本で自由に過ごすことができる権利?
…いいえ、実はその理解はちょっとだけ違うんです。
意外と誤解している人も多いですので、まずは、日本の永住権とは何かについて、説明していきますね。
(1)日本に滞在するためには、「在留資格」が必要
ご存知の通り、日本に90日を超えて滞在するためには、「在留資格」を取得しなければなりません。
たとえば、日本で勉強するためには、在留資格「留学」が必要です。
日本で語学教師として働くためには、在留資格「教育」が必要ですね。
これら在留資格には、日本で認められる活動内容(特に就労)が制限されています。
先程の例でいえば、在留資格「留学」だと、原則として就労はできません。「教育」の場合は、通訳や翻訳業務を行うことはできません。
ルールを守って活動しないと、不法就労や不法滞在として、罰せられることがあります。
(2)在留期間
在留資格には、在留資格の有効期間も定められています。
ほとんどの在留資格では、1年・3年・5年のいずれかが付与されますが、最初は1年という最短期間しか付与されないことが多いですね。
もちろん、在留期間を超えて日本に滞在すれば、不法滞在として罰せられることになります。
もしも、1年を超えて日本に滞在を希望するのであれば、在留期間が終了する3ヵ月前を目途に、在留期間の更新申請を行い、入管から許可されなければいけないのです。
(3)在留期間の更新申請の意味
ここで考えていただきたいのが、なぜ在留期間の更新許可を受けなければならないのか?ということです。
入管だって決して暇ではないですし、在留期間の延長申請業務は、かなりの負担になるはずですよね。
それでも在留期間の更新申請が必要なのは、そこに大切な目的があるからなんです。それでは、「大切な目的」とは一体何でしょうか?
- 外国人の在日中の行動に問題がなかったかをチェックする
- 在留期間を設けることで、外国人が失踪等をしないように抑制する
要するに、日本の治安を守ることが最大の目的であり、「外国人を無条件には信用できない」という基本姿勢があることが分かります。
逆にいえば、信用できる外国人については、チェック回数を減らしても問題ありませんので、「5年」という最長の在留期間が許可されることになります。
つまり、外国人に対する信用度が、在留期間に反映されるということですね。
この理屈に従えば、「絶対」に信用できる外国人については、在留期間の延更新申請そのものをなくしてもよいということになります。つまり「在留期間=無期限」が合理的になるということですね。
これが、日本における永住権の基本的な考え方になります。
(4)日本の永住権とは?
日本の永住権とは、「在留期日」が設けられておらず、「在留期間の更新申請が不要」という状態を表します。
日本にずっと住み続けられる権利を保証されたわけではありません。
なぜならば、信用に足る外国人ではない、と判断されれば、永住権を取り消される可能性がある(記事内ジャンプ)からです。
あくまでも「在留資格の在留期間更新手続き」が不要になる権利、ということです。
2.日本の永住権を取得するための2つの方法
日本の永住権を取得するためには、2つの方法があります。
- 在留資格「永住者」を取得すること
- 在留資格「高度専門職2号」を取得すること
(1)在留資格「永住者」を取得する
一般的に「永住ビザ」と呼ばれるものです。
就労に関する制限がほとんどなく、社会的信用度も高い在留資格ですので、非常に外国人からは人気の在留資格です。
ただし、永住ビザの取得難易度は年々高まっておりますので、シッカリとした準備を行わないと、なかなか永住ビザを取得することはできません。近年の許可率は、60%程度です。
メリットの多い永住ビザですが、もちろんデメリットもあります。
永住ビザの最大の欠点は、「ご両親を国から呼べない」ことだと思います。
病気がちなご両親や、年々年老いていくご両親を、なんとか日本に呼びたいという外国人の方も多いのですが、永住ビザでは難しいのが現状です。
人道的な観点からご両親の招へいが認められることもありますが、ハードルは決して低いとは言えません。
母国から確実にご両親を招聘するのであれば、次に紹介する「高度専門職2号」の取得を視野に入れてみましょう。
(2)在留資格「高度専門職2号」を取得する
『日本の永住権=在留資格「永住者」』と思っている人も多いのですが、他にも「高度専門職2号」という在留資格でも、永住権が認められています。
高度専門職2号の強みは、外国からご両親を呼び寄せることができることでしょう。長期間、日本に生活基盤を置く予定の外国人であれば、非常に魅力的な内容です。
ただし、高度専門職2号であっても、ご両親の呼び寄せには制約があります。
- ご両親と同居すること
- 世帯収入800万円以上であること
- 7歳未満の子供がいて、ご両親が3ヵ月以上面倒を見る予定であること
また、永住ビザと同列で語るのが難しい点が3つあることにも、触れておきましょう。
- 高度人材ポイント制が採用されており、ハードルが高いこと
- 高度専門職1号を経る必要があり、同1号には永住権がないこと
- 退職すると、ポイントが減ることで、高度専門職に該当しなくなる恐れがあること
☞ 高度専門職ポイント制度については、こちらからご覧ください(PDF)
特に③については、下手をすれば帰国を余儀なくされる可能性もゼロではありません。一般的な「永住権」というイメージからは、かけ離れていることに注意が必要です。
とはいうものの、外国人のご両親を呼び寄せる手段としては、基本的には「高度専門職2号」が最も現実的です。
ご両親の呼び寄せは、たとえ帰化をしたとしても認められていません。
大変厳しいものになっている現状は、国際結婚する上でシッカリと押さえておきたいポイントですね。
◆ 在留資格「家族滞在」で、両親を呼び寄せられないの?
結論からいうとできません。
在留資格「家族滞在」で帯同できる親族は、「配偶者と子供」だけです。
ご両親はもちろんのこと、ご兄弟なども帯同させることはできませんよ。
3.在留資格「永住者」を取得する2つのメリット
ここからは、「永住ビザ」にスポットを当てていきます。
「高度専門職2号」は、取得の要件が厳しいですからね。
永住ビザを取得することによる代表的なメリットは、次の2つです。
- 在留期間か無期限になる
- 就労の制限がほぼなくなる
(1)在留期間が無期限
これが「永住ビザ」と呼ばれる最たる理由です。
本来であれば、数年ごとに必要な在留期間の延長手続きが不要になるのです。
在留期間の延長申請が不許可になるリスクもゼロではない中、その恐怖におびえる必要がなくなることは、外国人にとって大きなメリットといえるでしょう。
ただし、在留期間の延長申請が不要ということは、その分、日本国から信用されている必要があるということです。
通常のビザよりも厳しい審査がありますし、近年は、永住申請の許可率は約60%という、とても低い水準で推移しています。
(2)就労の制限がほぼなくなる!
先程、ほとんどの在留資格には、就労の制限があると説明しました。
ただ、在留資格の中には、「身分に基づく在留資格」というカテゴリがあり、ここに該当する在留資格は、就労に関する制限が存在しないのです。
そして、永住ビザは、身分に基づく在留資格に該当します。
ですから、どれだけ長い時間、どのような業務に重視しようと、まったくの自由です。
これは、外国人にとっては、本当に大きなメリットといえるでしょう。
4.在留資格「永住者」を取得するための3要件とは?
永住ビザを取得するためには、大きく3つの要件をみたしている必要があります。
これら3つをみたしていれば、信頼できる外国人として、日本国から認められるということでもあります。
- 素行善良要件
- 独立生計要件
- 国益要件
素行善良要件とは、法令を遵守し、違反行為等を繰り返し行っていないか?ということです。
外国人を受け入れる際には、「日本人の不利益にならないか」という観点が重視されることは、先ほど説明した通りですね。
独立生計要件とは、日本で生活しているだけの十分な年収があるかどうか?ということです。
もしも、不十分な年収だった場合、犯罪に手を染めてしまう可能性もありますからね。
最後の国益要件とは、今後も日本に滞在し続け、納税を行う意思があるかどうか?ということです。
外国人に対して、自由に日本に居住できる権利を認めるのは、経済的な見返りを求めているから、ということですね。
5.日本の永住権は自分で申請して取得できるの?
永住申請について、ご自身で行うことはオススメしません。
というのも、永住申請に対する審査期間が1年近くかかることも珍しくなく、また、審査そのものも年々厳しくなってきているためです。
能力のある行政書士であれば、90%以上は永住許可を取得できるようです。
全体の許可率が60%程度と考えると、ご自身で永住申請を行った人は、ほとんど許可されていないのではないかと推測されます。
1年という時間をムダにしないためにも、なるべく行政書士の利用を検討しましょう。
https://kokusaikekkon7.com/eiju_petition/
https://kokusaikekkon7.com/eiju_toreap/
6.永住ビザは取得後、取り消されることがある
永住ビザは、次のように外国人を評価した結果、交付されるものです。
- 善良で信用力の高い外国人は、在留期限の延長手続きを免除される
- 日本国からは、日本に住み続け、日本に貢献する人物と評価されている
逆にいえば、このような評価が覆ってしまうと、永住ビザが取り消される可能性があります。
永住ビザが取り消される代表的な事例としては、以下の4通りが考えられます。
- 犯罪等を犯して強制退去処分になる
- 過去のビザの申請等で、虚偽の申請や書類の偽造が発覚する
- 再入国許可の期限(みなし含む)を超えて、再入国する
- 90日以内に新たな居住地を届け出ない
特に②については気を付けてくださいね。
永住ビザの申請時にウソをついていたことが後日発覚すれば、容赦なく永住ビザが取り消されてしまいます。
仮にオーバーステイをしていた過去などがあっても、正直にお伝えするようにしましょうね!
日本の永住権申請前に知っておくこと ~まとめ~
いかがでしたか?
日本の永住権というのがどういうものなのか、理解できましたか?
そして、日本の永住権を取得するために、どのような要件をみたせばよいのか、イメージはできましたか?
永住権を取得することそのものには、メリットしかなく、デメリットはありません。
後は目的に応じて、永住ビザなのか、それとも高度専門職なのか、はたまた帰化する方向に修正するのか、考えていただければと思います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!