日本で国際結婚をすると、夫婦別姓になるが原則です。
諸外国では、夫婦同姓か夫婦別姓かを選べるのが当たり前なんです。
ですから、日本の制度って変!と思う外国人も多いのだとか。
でも、実は国際結婚は、実質的に夫婦同姓・別姓を選べる制度になっていて、日本人同士の結婚よりも、名字については選択の幅が認められているんですよ!
せっかく夫婦になったんだから、旦那さんのファミリーネームに変えたいなぁ。
外国人の奥さんに、オレの名字を名乗ってもらうことって、できるの?
ご安心ください!できます!
この記事を読めば、国際結婚でも夫婦同姓にできる3つの方法をマスターできますよ!
◆ 国際結婚は「夫婦別姓」が原則!?
◆ 夫婦同姓にできる3つの方法!
◆ あなたに適しているのは、3つの方法のどれ??
1.国際結婚は夫婦別姓が原則
…え?知らなかった!という声が聞こえてきそうですが(笑)
国際結婚するまで知らなかったよ~!なんて話も、実際に聞いたことがあります。
思ったより、「国際結婚=夫婦別姓」って知られていないんですよね。
国際結婚では、夫婦別姓が原則なのですが、日本人同士の結婚だと、夫婦別姓は認められていません。
つまり、国際結婚と日本人同士の結婚では、ルールが制反対なんですよね。
とても奇妙な現象ですが、その原因は日本の戸籍ルールにあります。
興味がある方は、戸籍のルールと夫婦別姓の理由の記事もご覧ください。
もちろん、国際結婚をした夫婦は、何も手続きしなければ夫婦別姓のままですので、これから紹介する手続きをすることによって、夫婦同姓にする必要がありますよ。
それでは、夫婦同姓にするための3つの方法について、確認していきましょう!
ちなみに、夫婦同姓なのか別姓なのかという選択が認められていないのは、世界でも日本だけなんですよ!
2.夫婦同姓にするための、3つの方法とは?
国際結婚において、夫婦同姓にするための方法は、1つだけではありません。状況によって、使い分ける必要があるんです。
(1)夫婦同姓にするための3つの方法
夫婦同姓にするには、次の3つの方法が考えられます。
- あなたの名字を、外国人配偶者の名字に変更する(改名手続き)
- 外国人配偶者が、あなたの名字で、通称名を登録する(通称名登録)
- 外国人配偶者が日本国籍を取得する(帰化手続き)
(2)どの方法を使えばいいの?
あなたが日本人女性であれば、まずは改名手続きを参考にしてみてください。
あなたが日本人男性であれば、通称名登録を参考にされると良いでしょう。
帰化手続きは、外国人配偶者の日本での生活が、3年を超えている場合にご覧ください。
3.改名手続きで夫婦同姓
戸籍法という法律で、あなたの名字を、お相手の外国人の方の名字に変更することが、法的に認められているんです。
外国人と婚姻をした者がその氏を配偶者の称している氏に変更しようとするときは、その者は、その婚姻の日から六箇月以内に限り、家庭裁判所の許可を得ないで、その旨を届け出ることができる。(戸籍法第107条2項)
もちろん、あなたが男性でも、この条文内容は適用されます。
ただ、男性が妻の名字を名乗るケースは、全体の4%しかありません。
そのため、女性を前提とした説明にしています。
(1)変更後の名前は3パターン
この手続きを踏むと、単純に名字を変える以外にもパターンがあるんです。
なんと、全部で3パターンから選べるんですよ。
今回は、夫婦同姓にすることが目的ですので、ミドルネームについては詳しく触れません。
ミドルネームについては、姓に含めてしまうことが多いようです。
たとえば、あなたのお名前が、「佐藤 花子」さんで、旦那さんのお名前が、「ジェームス スミス」さんだったとしましょう。
この場合、名字変更の手続きを行うと、佐藤 花子さんのお名前を、次の3パターンのいずれかに変更することができますよ。
パターンA 日本姓 ⇒ 旦那さんの外国姓に変更
姓:佐藤 ⇒ スミス 名:花子 ⇒ 花子
パターンB 日本姓 ⇒ 日本姓と外国姓の複合姓に変更
姓:佐藤 ⇒ スミス佐藤 名:花子 ⇒ 花子
または
※パスポート表記を考え、「佐藤スミス」を選択される方が多いです。
パターンC 日本姓 ⇒ 日本姓と日本名を同時に変更
姓:佐藤 ⇒ スミス 名:花子 ⇒ 佐藤花子
このときに使える文字の種類は、次の3種類です。
- ひらがな
- カタカナ
- 常用漢字+別表第二に掲げる漢字
アルファベットやハングル文字などは、利用できませんので、注意してくださいね。
子供が生まれた時のことも、知識として知っておきましょう。
子供の名字は、「日本人親」の名字になります。
つまり、日本人女性が、外国人男性の姓に改正すると、生まれてくる子供も、外国人男性の姓を名乗ることになりますよ。
(2)改名手続きは2種類
手続きの方法
改名手続きは、婚姻後6ヵ月以内の場合には、書類を提出するだけですみますが、婚姻後6ヵ月を過ぎてから行おうとすると、家庭裁判所の許可が必要です。
6ヵ月を計算する基準日は、日本に婚姻届けを提出した日になります。
①婚姻から6ヵ月以内の場合<オススメ!>
婚姻から6ヵ月以内に、本籍地の市区町村へ、「外国人との婚姻による氏の変更届け」を提出します。海外でも届出は可能で、その場合には、在外公館に届け出ます。
「外国人との婚姻による氏の変更届け」は、役所に備えてある書類ですので、担当の方に言えば、持ってきてもらえるはずです。
6ヵ月以内とありますが、できれば、婚姻届と同時に手続きをしてしまうと楽ですよ。
準備するもの
- 外国人との婚姻による氏の変更届け(役所にありますよ)
- 戸籍謄本(本籍地が申請する役所の管轄であれば不要です)
- 申請する人の印鑑(シャチハタは使えません)
婚姻届けを出すのと同時ですから、ほとんど手間もかかりませんので、とっても楽です。
これによって、晴れて夫婦同姓になりました。
②婚姻から6ヵ月を超えた場合
先ほど6ヵ月以内なら、届出だけで夫婦同姓にできることを紹介しました。
ところが、6ヵ月を超えると、事情が変わってきて、次の条文が適用されることになります。
やむを得ない事由によつて氏を変更しようとするときは、戸籍の筆頭に記載した者及びその配偶者は、家庭裁判所の許可を得て、その旨を届け出なければならない。(戸籍法第107条1項)
別に悪いことをしたわけではないので、身構える必要はありませんよ(笑
でも、家庭裁判所において「やむを得ない事由によって氏を変更しよう」とする、その具体的な理由を説明しなければなりません。
改名をしないと、日常生活に支障をきたす場合のみ変更可能です。
個人的な趣向や感情、信仰上の希望などでは不足するといわれていますよ。
用意しなければならない書類もたくさんありますから、かなり骨が折れると思いますよ。
時間だって、仮に順調だったとしても、2週間程度はかかるはずです。
もしも、この方法をもっと知りたい!という方がいれば、以下のページをご覧ください。
参考ページ:http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_19/(裁判所)
最後に注意点です。
先ほど、改名手続きによって、3パターンに変更できることを確認しましたよね?
このうちパターンB(日本姓⇒日本姓と外国姓の複合姓に変更)とパターンC(日本姓⇒日本姓と日本名を同時に変更)は、注意が必要です。
パターンBとパターンCのことを、複合姓(ダブルネーム)といいます。
複合姓は、婚姻から6ヵ月以内であっても、家庭裁判所の許可が必要になりますよ!
姓をどうするのか、結婚前にパートナーとよく話し合いましょう!
変更が必要という結論になったのならば、婚姻届を提出するのと同時に、外国人との婚姻による氏の変更届けも提出するようにするとよいでしょう。
4.通称名登録で夫婦同姓
先ほどの改名手続きは、あなたが日本人男性の場合には、抵抗ある人が多いでしょう。
通称名登録とは、外国人配偶者に、日本人の名字を名乗ってもらう方法です。これにより、国際結婚でも夫婦同姓となります。
(1)通称名とは?
通称名とは、法的な拘束力のあるペンネームのようなものです。通名といわれることもありますよ。
通称名をあらかじめ登録しておくことで、身分証明に利用することができます。身分証明の他にも、契約や登記作成といった法的場面でも、通称名でサインが可能です。
そうなんです。通称名は、一度決めたら基本的には変更することができません。
通称名の変更が認められるのは、離婚して、通称名を廃止するときと、再婚時に姓を変更するときのみです。
それ以外での変更は認められませんから気をつけましょう。
ペンネームといっても、一生の身分証明に利用しますので、慎重に決めましょうね。
通称名のイメージは、こんな感じです↓。
通称名を登録すれば、身分証明にも使うことができ、日常のほとんどを通称名で生活することが可能です。
(2)通称名制度の趣旨を理解しよう
たとえば、病院の待合室で、外国人の名前が呼ばれたら、どうなるでしょうか?
結構な人が振り向くと思うんですよね。
変な意識で見るわけじゃないけど、外国人からしたら、いい気分はしません。
他にも、外国人の名前で、玄関先の表札が作られていたらどうでしょうか?
ひょっとしたら、子供がいわれのないいじめにあうかもしれませんね。
他にも、詐欺師集団から目を付けられるかもしれません。
残念ながら、日本はまだまだ外国人に対して、開かれた社会ではありません。
通称名制度は、そんな外国人たちが平穏な日常生活を送れるようにするための制度です。
したがって、通称名登録するとき、この目的に当てはまるかを検討してください。
場合によっては、ファーストネームも一緒に変更したほうが良いことも考えられますよ。
(3)通称名の登録手続き
通称名の登録手続きは、市区町村住民窓口で行います。
通称名記載申出書を提出しますが、これは市区町村役場にありますのでご安心ください。
これが受理されると、住民票に通称名が登録されます。同じように、マイナンバーカードと国民健康保険証にも記載できます。
運転免許証については、運転免許センターで手続きをしなくてはいけません。
通称名の登録手続きについては、ボリュームが多いので別記事にまとめました。
(4)通称名を使う意味
通称名を登録することで、夫婦同姓になりますので、絆が強まるかもしれませんね。
しかし、通称名は、あくまでもペンネーム。
改姓したわけではありませんから、本当の意味では夫婦同姓ではありません。
① 外国人パートナーが通称名登録後、一定期間経過後に改名手続きを行う。
② 外国人パートナーが帰化手続きを取る。
じつは、通名を長く使っていると、通名への改名が認められる可能性がありますので、知っておくとよいでしょう。
また、帰化手続きを取ることでも、夫婦同姓になります。帰化手続きについては、次の章で説明をしていきますね。
5.帰化手続きで夫婦同姓
帰化とは、自らの意思で、他国の国籍を取得して、その国の国民となることをいいます。
つまり、「外国人配偶者」の方に、「日本国籍を取得してもらうこと」「日本人になってもらうこと」を指しています。
日本人になる、ということは、日本の戸籍を持つことができるということです。
当然、夫婦で同姓を名乗ることが可能になります。
(1)帰化の要件は?
日本人と婚姻した外国人が行う帰化のことを、簡易帰化(特別帰化)といいます。
簡易帰化は、日本人とのつながりがない外国人の普通帰化と比べると、帰化のための要件が軽くなっています。
日本人の配偶者で、かつ、日本に3年以上住所を有すること
帰化要件のすべてをまとめた記事はこちらです!↓
(2)二重国籍の禁止
日本の国籍法では、二重国籍が認められていません。
特殊なケースはありますが、原則として、母国の国籍を放棄しなければならないのです。
帰化はアイデンティティにもかかわる、極めて重要な問題です。
将来のことも考えて、慎重に決定するようにしてくださいね!
6.まとめ
- 国際結婚は夫婦別姓が原則(外国人は日本の戸籍を持てない)
- 夫婦同姓にするための方法は3つ(改名手続き、通称名登録、帰化)
- あなたが、日本人女性ならば、改名手続きを検討されるのがおススメ
- あなたが、日本人男性ならば、お相手の通称名を登録されるのがおススメ
- 外国人配偶者の日本滞在歴が長く、ご本人の希望が強ければ、帰化も選択肢
いかがでしたか?
国際結婚の場合、夫婦別姓が原則なのですが、今回の方法を踏まえれば、実質夫婦同姓との選択制と言えるでしょう。
ただし、日本人の姓を外国人のファミリーネームと合わせるだけだったり、本名は変更できずにペンネーム登録をするだけだったり、完璧なものとはいいがたいです。
外国では、夫婦同姓と夫婦別姓が選択できるのが当たり前ですから、日本も同じだと思っている可能性があります。
ちなみに、夫婦同姓なのか、夫婦別姓なのかについては、将来生まれてくるお子さんの名字にも影響があります。かならず確認しておきましょう!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!