永住権を取得したいんだけど、取得の要件を詳しく知りたいなぁ。
日本の永住ビザ取得要件は、大きく分けて3つあります。その3つもさらに細かい内容にわかれていますよ!
この取得要件をみたしているかを事前にチェックすることが、とても重要です。
永住ビザの取得は、正しい事前チェックができるかどうかで決まる、といっても過言ではありません。
永住ビザの許可率は、近年60%前後という非常に低い確率になっています。
許可率を少しでも上げるためには、事前の念入りな準備が必要不可欠なのです。不許可になると、1年近い時間がムダになってしまいますからね。
◆ はじめに、永住ビザの要件が、大きく3つあることを確認します。
◆ その後、永住権の3つの要件の内容を一緒に見ていきましょう。
ぜひ最後までお読みくださいネ♪
>永住ビザってなに?取得するメリットは?
https://kokusaikekkon7.com/whateiju/
>永住申請に必要な書類はなに?どこで集めればいいの?
https://kokusaikekkon7.com/eiju_petition/
>永住申請の理由書の書き方は?ポイントが知りたい!
https://kokusaikekkon7.com/eijuu_writing/
>もしも、永住許可が不許可になってしまったら…
※信頼できる行政書士をお探しの方は、以下の関連記事を参考にしてください。
- 関連記事1:知らなきゃ損!絶対に後悔しない行政書士の選び方とは?【国際結婚】[wp-svg-icons icon=”libreoffice” wrap=”i”]
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序章:法律上の永住権の3要件
最終的な許可・不許可の判断は、法務大臣の自由裁量で決めることとされているためです。
実際には、法務省が、外国人の個々の状況を、総合的かつ公平に考慮して判断します。その法務省が、永住許可に関するガイドラインを公表しています。
ガイドラインでは、3つの観点から永住の妥当性をチェックするとされています。
(1)素行が善良であること
1つ目の要件は素行が善良であることです。これは、「素行善良要件」とも言われます。
日本国の法律や義務を、順守していることを意味します。日常の社会的生活において、模範的な住民生活を営んでいることも意味します。
(2)独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること
2つ目の要件は、独自に生活できるだけの資産や技能があることです。これは、「独立生計要件」ともいわれます。
日常生活において、公共の負担とはなっていない状態を意味します。たとえば、生活保護を受けていると、独立生計要件は満たせないことになります。
また、その外国人の状況からみて、将来的にも安定した生活が見込まれることも意味します。原則として、世帯単位の資産が一定以上の水準かどうかで判断されますよ。
(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
3つ目は、その外国人が永住することによって、日本に好影響があると期待されることです。これは、「国益要件」ともいわれます。
具体的には、次の4つのことを意味しています。
- 原則として、引続き10年以上日本に在留していること
- 罰金刑や懲役刑を受けておらず、納税義務等の公的義務を履行していること
- 現に有している在留資格を、最長の在留期間として取得していること
- 公衆衛生上の観点から、有害となる恐れがないこと
永住権を取得するためには、まずは3要件を満たしていることが重要です!
そのうえで、それを正確に伝えることが要求されます。
日本人の配偶者とその子供は、素行善良要件と国益要件の2要件をみたすだけでOKです。
これは、在留資格が日本人の配偶者等である必要はありません。
永住者の配偶者とその子、特別永住者の配偶者とその子も同様です。
難民認定を受けた人も同じです。
永住要件1:素行善良要件
- 日本国の法令に違反して、懲役・禁固または罰金に処せられたことがある
- 日常社会生活において、違反行為や風紀を乱す行為を、繰り返し行っている
(1)法令違反での処罰について
法令に違反し、処罰を受けた履歴があるかどうかということです。
恵右住許可を受けたい人が、日本で罪を犯して、処罰されたことがないか、チェックしてください。
刑務所から出所後、10年を経過すること。
執行猶予が付いた場合は、猶予期間満了後、5年を経過すること。
支払を終えてから、5年を経過すること
上記期間を経過した後は、法令に違反して処罰されたとしては取り扱われません。
不安な点は、行政書士に確認を取ったほうがよいでしょう。
(2)違反行為等の繰り返しについて
これは、懲役・禁固・罰金・拘留・科料に該当しないような軽微な違反を、繰り返し行っていないかということです。
駐車禁止違反、一時停止違反、携帯電話使用違反などを行っていませんか?
過去5年間に、5回以上違反していると、「繰り返し」と判断され、OUTです。
また、車の運転に関する違反には、軽微でない違反もあります。
飲酒運転や無免許運転などを行っていませんか?
これは、明らかに軽微な違反ではありませんよね?
これらは、たった1回でも行ってしまえば、OUTとして取り扱われます!
運転記録証明書を取得すれば、過去の違反記録が分かります。
運転記録証明書は、警察署か運転免許センターで申請書を入手してください。
こちらの見本は東京都のものですので、地域によって様式が異なることがあります。
必要事項を記入したら、ゆうちょ銀行・郵便局・運転免許センターのいずれかに提出します。交付手数料は630円で、ゆうちょ銀行・郵便局の場合には、別途料金が必要です。
受取方法は、窓口受取りと郵送受取りの2種類から選べます。窓口受取りなら、約3日(土日除く)。郵送受取りなら、約1~2週間です。
(3)ご家族が家族滞在ビザの場合
ご家族が家族滞在ビザで日本に滞在しているときには、ご家族への監督責任があります。
特に就労許可を受けたご家族については、どのような就労をしているのかをチェックすることが必要になります。
就労許可の範囲を超えた就労が発覚した場合には、永住申請が不許可になります。
たとえば、配偶者の風俗産業への従事や、お子様が週28時間を超えるアルバイトが発覚した場合、旦那様の監督責任も問われるのです。
この場合には、すぐに申請しても永住申請は許可されません。
かならず是正後、3年を経過してから申請するようにしてください。
(4)【参考】お子さんが永住権を申請する場合
お子さんの永住ビザを申請したい! というときは、念のため次の2点をチェックしてください。
- 保護観察所の保護観察が継続されていない
- 現に少年院に送致されていない
永住要件2:独立生計要件
基本的には、年収が過去3年間にわたって300万円以上あるかをチェックしてください。
会社を経営している方も同様です。
(1)扶養している家族がいる場合
扶養している人数が1人増えるごとに、必要年収が70万円加算されます。
もし、1人だけ扶養しているのであれば、370万円の年収が必要です。
2人を扶養しているのであれば、440万円が年収要件です。
一時、母国にいる親族を、入れられるだけ扶養に入れるのが流行りました。
この税金逃れは、大変問題視され、2016年から対策されています。
その扶養について、親族との関係性や送金記録の提出を求められ、正当性を立証できなければ、永住申請が不許可になります。
(2)直近1年以内に転職していた場合
転職によって、キャリアアップしたことが明確であれば問題ありません。たとえば、給与が増えたり、役職が上がったりといったケースですね。
いっぽう、年収が下がってしまうようなケースも見受けられます。この場合には、将来の安定性について疑義が生じます。永住申請に悪影響を及ぼす可能性があります。
この場合には、転職した会社で、1年が経過してから永住申請をしましょう。
(3)会社を立ち上げた場合
経営・管理ビザの方は、以下の内容もチェックしてください。
会社を経営している場合には、その会社の安定性と継続性が、非常に重視されます。赤字が連続していたり、借入金の金額が大きすぎる場合などは、永住申請が不許可になる可能性が高いので、注意が必要です。
また、開業して1年程度で申請すると、安定性の観点から不許可になるリスクが高いです。黒字化の実績を2年くらい積んでから、申請するようにしてください。
(4)永住希望者が、専業主婦で収入がない場合
この場合には、配偶者が独立生計要件をみたせば、問題ありませんよ。あくまでも、世帯収入として判断されますので、ご安心ください。
(5)生活保護を受けていたら?
独立の生計を営む能力がないと判断されます。永住申請をしても、許可される可能性はありません。
永住要件3:国益要件
(1)日本継続在留要件
在留要件とは、日本経済に寄与する活動を長年行ってきており、今後も日本に生活基盤を置くかどうかを判断するものです。
原則として、引続き10年以上日本に在留し、このうち、就労資格または居住資格をもって、直近の5年以上在留していること
実態を伴った婚姻が3年以上継続し、かつ、引続き1年以上日本に在留していること
※永住者の配偶者及び特別永住者の配偶者も同様です。
①引続きの意味
期間中、海外に出国した場合、「引続き」日本在留とみなすか、という判断が必要です。この判断は、以下の日数を目安に判断されますよ。
- 1回あたりの出国日数が、おおむね3ヵ月以内か
- 年間における出国日数の合計が、おおむね100日~150日以内か
※①②の要件を、いずれもみたしている必要があります。
この場合、まずは説得力をもった正当な事情であることを説明する必要があります。
また、疑われているのは、永住ビザを取得したら、海外に生活基盤を移すのではないかということです。
家族や資産の状況を伝えて、将来的な日本滞在が継続される旨も説明しなくてはなりません。
しかし、これらを伝えたとしても不許可になる可能性が高いので、出国日数についてはシッカリと管理するようにしてください!
Q.「引続き」と認められなかった場合には、日本滞在期間はどうなるの?
A.「ゼロ年」から再度カウントです。
②10年要件の緩和
特定の状況の方は、10年の要件が短縮され、かつ、直近5年の縛りがなくなります。
日本人、永住者、特別永住者の実子等は、1年以上日本に継続在留でOK!
定住者は、5年以上日本に継続在留でOK!
※難民認定を受けた方も同様
③日本人の配偶者の補足
日本人の配偶者は、10年☞3年の期間でOKになりますが、ここでいう日本人の配偶者とは、配偶者ビザという意味ではありません。純粋に、日本人と結婚している人、という意味になります。
ですから、次のようなケースも、永住申請の要件をみたすことになります。
海外で2年間結婚生活を送ったあと、日本に引っ越して1年間生活して、日本の永住ビザを申請した。
永住者の配偶者、特別永住者の配偶者も、同様の考え方です。
(2)納税義務履行要件
永住権を申請する者が、税金等をしっかり納めているか、を確認します。税金等とは、住民税や国民健康保険税、国民年金等をさします。
①会社員の方
基本的には、会社で社会保険に加入しているはずです。各種税金は、給与から天引きされていると思いますので、特に問題にはなりません。
ただ、給与から天引きされず、ご自身で支払っている方も、おられるかもしれません。
この場合、遅滞なく支払いを行ってきたかどうか、チェックしてください。
税金等を支払っているのは当たり前で、期日を守って継続的に支払っているかが重視されているのです。
支払った際の領収書は、必ず保管しましょう。
銀行からの引き落としの場合は、通帳の記帳を忘れずに行ってください。
会計ソフトによる合計記帳がされた場合は、銀行から明細を取得できます。
もしも、国民健康保険と国民年金について納期限を守っていないと、不許可に直結しかねません。なぜならば、永住許可がおりたら、その後は支払いをやめる可能性が高いでしょうから。
この場合、まずは永住申請をする直近1年間の、納期限を守った支払実績を作ってください。
そして、申請理由書において、納期限を守れなかった理由(自動引き落としにしていなかった等)と反省、その対策方法(自動引き落としに変更等)を示します。
②会社経営者の方
会社経営者の場合、個人としての税金と、会社としての税金という2つの面から、審査されることになります。
個人としての税金については、先ほどの会社員の方と同様の考え方です。
会社としての税金については、次の2点をチェックしてください。
- 会社として納める税金を、期限を守って納税してきたか?
- 会社として、各種保険(厚生年金、雇用保険等)に加入しているか?
法人を経営しているのであれば、各種保険への加入が義務になります。
個人事業主であれば、常勤従業員を5名以上雇用してると、加入義務があります。
③フリーランスの方
各種税金に関して、確定申告による納税を行っていると思います。フリーランスの方は、次の2点をチェックしてください。
- 確定申告は、確実におこなってきたか?
- 納期限を守って、納税してきたか?
(3)在留資格の在留期限要件
各在留資格における、最長の在留期間をもって在留しているかどうか、という要件になります。最長の在留期間が許可されていなければ、永住申請は不許可になります。
各在留資格には、それぞれ段階的な在留期限が設けられていますよね。たとえば、配偶者ビザの場合は、6月・1年・3年・5年という形です。
在留期間は、最初は短い期間で付与されますが、更新時に問題がないことが確認されると、徐々に長い期間が付与されるようになります。
最長の在留期限が許可されているかどうかは、以下を参考にチェックしてください。
日本人の配偶者等:6月、1年、3年、5年
技術・人文知識・国際業務:3月、1年、3年、5年
技能:3月、1年、3年、5年
経営・管理:3月、4月、1年、3年、5年
高度人材:5年
当面の間は、在留期間3年を有すれば、最長の在留期間をもって在留しているものとして取り扱われます。
1年の在留期間しか付与されていない場合は、申請しても不許可になります。
(4)公衆衛生上の観点から有害でない
これは、次の2点をチェックするようにしてください。
- 麻薬・大麻・覚せい剤等の慢性中毒者ではない
- 特定の感染症疾患者ではない
特定の感染症とは?
一類感染症:エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱およびラッサ熱のウイルス性出血熱、ペスト、マールブルグ病等
二類感染症:ポリオ、結核、ジフテリア、SARS、MERS、鳥インフルエンザ(H5N1およびH7N9)等
指定感染症、新感染症
直近の健康診断書があれば、任意で提出してみると良いでしょう。
(5)身元保証人がいること
永住権を申請するためには、身元保証人を用意することが必要です。身元保証人がする保証の内容は、以下の3つです。
- 滞在費
- 帰国費用
- 法令順守
ここでいう身元保証人は、「道義的責任を果たす人」という意味になります。
つまり、経済的な賠償を負うものではなく、罰則を受けたり、責任を追及されたりすることはありません。
ただし、身元保証人としての責任を果たせなかったわけですから、その適格性を欠くと判断され、以降、永住申請の身元保証人になることができません。
身元保証人になれるのは、以下の条件をみたす方です。
- 安定した収入(目安として年収300万円以上)がある方
- 納税をきちんとしている方
- ①②をともにみたす日本人、または「永住者」の外国人の方
就労ビザの外国人は、身元保証人になれませんので気を付けてください!また、日本人と結婚している場合には、配偶者の方にお願いすることがほどんどです。
関連記事:永住権(ビザ)の申請に必要な身元保証人って?責任範囲とリスクは?
永住ビザを取得するために必要な3要件 ~まとめ~
素行善良要件、独立生計要件、国益要件の3要件の事前セルフチェックが重要
素行要件は、犯罪を犯していないか、自動車違反を繰り返していないか?
独立生計要件は、年収300万以上。扶養人数に注意!
10年以上日本に滞在。日本人と結婚なら、3年でOK!
国民年金、国民健康保険は、期限通りに払っているかがポイント!
在留期間は、3年以上が付与されているか?
身元保証人を外国人に頼むときは、永住者にしか頼めない
いかがでしたか?
想像以上に細かくて厳しいルールで、驚かれた方も多いのではないでしょうか?永住許可率は60%前後で推移しており、永住ビザの取得はとても難しいことがわかりますね。
これは、永住権を付与した後は、在留資格の更新がなくなるので、不正などがあっても気づきづらくなるからです。つまり、これが実質的な最後の「監視」になるのですね。
日本に悪影響を及ぼすような外国人に永住ビザを与えないよう、審査も慎重に行われているのです。
※信頼できる行政書士をお探しの方は、以下の関連記事を参考にしてください。
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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました!