この記事では、帰化により登録する名前について、説明します。
帰化申請をすることで、日本の国籍を取得できるとともに、日本の氏名も登録する必要がありますよね。
名前は今後の生活への影響を十分に検討して、慎重に考えていかなければなりません。
とはいうものの、どのような名前をつければよいのか、どこまで自由が認められているのか、わからないよ! という方も多いと思います。
そこで、この記事では、帰化申請後の日本の氏名のルールについて説明していきます。
◆ 帰化後の氏名は、いつまでに決めればいいの?
◆ 帰化後の氏名は、どんな名前でも認めてもらえるの?
◆ ミドルネームを入れたい場合には、どうすればいいの?
◆ 一旦登録した氏名を、後日変更することはできるの?
※信頼できる行政書士をお探しの方は、以下の関連記事を参考にしてください。
帰化後の名前の決め方は?
(1)いつまでに帰化後の名前を決めればいいの?
参考:法務省「帰化許可申請」
これは”帰化許可申請書”といって、帰化申請時に提出する書類です。
サンプル画像で赤く囲った部分に、”帰化後の氏名”を記入する欄がありますよね?
ということは、帰化後の氏名は、帰化申請書類を提出する段階では、決めておかなければいけないということになります。
余談ですが、本籍地をどこにするのかについても、申請時点までに決めておく必要がありますよ。
(2)帰化後の名前はどんな名前にするの?
帰化後の名前はどんな名前でもいいの?芸能人の名前でもOK?
帰化後に使いたい日本の氏名は、どんな名前でも、自由に決めて問題ありません。
もちろん、ミーハーな理由で芸能人の名前にしても良いですし、画数の縁起を担いで歴史上の偉人の名前にすることも可能です。
帰化後の名前にはどんな文字を使うことができますか?
戸籍の登録に使える文字の種類は、下記の4種類です。※厳密には他にも使える文字はありますが、重要性が低いので紹介しません。
- ひらがな
- カタカナ
- 常用漢字+別表第二に掲げる漢字
- 長音符(”ー”と伸ばす記号。ただし、一文字目には使えない)
アルファベットやハングルを使うことはできませんからご注意ください。
氏に関する注意点
帰化申請の時点では、氏と名をそれぞれ決めることになりますが、結婚している方は、氏について注意をしましょう。
法務局に初めて相談に行くともらえる「帰化許可申請のてびき」の中に、以下のような記述があります。
夫婦又は日本国民の配偶者が申請する場合、帰化後の氏について夫又は妻のいずれの氏によるかを( )内に明記してください。
日本では、国際結婚の場合には、原則として夫婦別姓です。しかし、日本人同士の結婚の場合には、夫婦同姓しか認められていません。
帰化により日本国籍を取得するということは、日本人になるということですから、夫婦同姓でなければならないのです。
https://kokusaikekkon7.com/resonw_diffename/
帰化後の名前に、ミドルネームを引き継ぎたいんだけど…?
日本には氏と名だけしかなく、そこにミドルネームという概念はありません。
どうしてもミドルネームを名乗りたい場合には、氏か名のどちらかにミドルネームを強引に付ける、というやり方があります。
登録における文字数制限はありませんし、カタカナも使うことができますので、ミドルネームの”ように見せかける”ことは、十分に可能です。
みんなは、どうやって帰化後の氏名を決めているの?
帰化をさかいに、名前がガラッと変わってしまうと、周りの人も困惑してしまいます。
通称名を登録・利用している方は、その通称名をそのまま帰化後の氏名とするケースが多いようです。
では、今までの生活の中で通称名を使ってこなかった場合はどうでしょうか?
今後は、日本人として生活していくことになります。ご自身の私生活への影響、お子さんのお名前への影響など、様々な可能性を検討しなければなりません。
中には、「日本人社会に溶け込むためには、日本人風の名前の方がよい」と判断される人もいるでしょう。
逆に、「自分のアイデンティティとして、親からもらった名前をそのまま使い続けたい」という人も多いと思います。
どちらの氏名を選ぶのかは自由ですが、とにかく慎重に決定するようにしてください。
なぜならば、いちど戸籍に登録してしまうと、よほどの事情がない限り、変更することは不可能であるためです。
- 帰化時に登録した氏名は、一生使い続ける
- 特に”氏”は、子供・孫といった子孫に引き継がれる
(3)帰化申請で登録した氏名は、原則として変更できません。
原則として、氏の変更はできないと思ってください
戸籍に記載された”氏”または”名”を変更する場合には、正当な理由がある場合に限り、変更が認められます。
この場合、その旨を家庭裁判所に申請し、変更の許可を得なければいけません。
これを見ていただいてお分かりだと思いますが、「名の変更許可の申立書」の場合、8つの正当な理由が列挙されていますので、ここに該当すれば変更許可が降りる可能性があります。
これに対して、「氏の変更許可の申立書」の場合には、正当な理由をご自身ですべて埋めなければいけません。 氏の変更は正当な理由に該当する事例が多くなく、個別に判断するスタンスがとられているのです。
“名”の変更における正当な理由は8つ!
名の変更許可の申立書には、正当な理由に該当する自由として、次の8つが挙げられています。
- 珍奇な名
- むずかしくて正しく読まれない
- 同姓同名者がいて不便
- 異性とまぎらわしい
- 外国人とまぎらわしい
- 神宮・僧侶になった(やめた)
- 通称として永年使用した
- その他
ただ、あなたの主観でこれらに当てはまるからといって、裁判所から変更の許可が得られる保証はありません。
裁判所では、これらを判断するための客観的な基準が設けられており、その基準に合致することで、初めて許可がおりる仕組みになっています。
帰化後の名前はどうやって決めるの? ~まとめ~
帰化後の氏名は、帰化申請時までに決めておく!
☞氏名そのものは、自由につけることができる
☞使える文字には制約があるので注意
☞氏名は一度登録すると、変更は困難である!
いかがでしたか?
今回は帰化をした後の氏名について解説してきました。
名前を自由に決められる分、一度決めたら変更が効きづらく、基本的には、その名前と一生付き合っていくものという覚悟が必要です。
帰化申請の準備で大変だと思いますが、お名前についてもとても大切なことですから、後悔がないようにじっくりとお考え下さいね!
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!