私の家は国際結婚だから、子供が二重国籍なのよぉ~
日本人からすると、国籍は1つだけ!というのが当たり前なので、二重国籍と聞くと、ちょっとかっこいいイメージがありますよね。
子供の将来の可能性を広げる意味でも、子供を重国籍にしたい!という国際結婚カップルも増えているようです。
たしかに、日本の国籍法と海外の国籍法の兼ね合いで、お子さんが不可避的に重国籍になることは、十分に考えられます。たとえば、中国人と日本人の間の子どもが、中国で生まれたら、二重国籍になることがあります。
お子さんが不可避的に重国籍になった場合には、お子さんが22歳になるまでに、いずれかの国籍を選択しなければいけません。
「国籍留保」とは、仮に日本国籍を取得する手続きをいいます。
海外で生まれた子どもが、日本国籍と外国国籍の重国籍者に該当する場合、「国籍留保」をしないと、生まれた日にさかのぼって、日本国籍を喪失します(つまり、この世に生を受けた瞬間から、日本国籍を持っていなかったとされる)。
『国籍留保』という表現からもわかりますが、重国籍が認められたのではなく、22歳までに国籍を選択するための時間的猶予が与えられたと解釈してください。
自分のルーツやアイデンティティと真剣に向かい合い、そして22歳までに1つの国籍を選択することになるのです。
この記事では、お子さんが望む国籍にするための手続きをお伝えしてきます。また、もしも国籍を選択しなければどうなるのか?についても、簡単に解説します。
◆ 日本国籍を選択するには、どうすればいいの?
◆ 外国籍を選択するには、どうすればいいの?
◆ 22歳を過ぎても、国籍を選ばなかったらどうなるの?
やだ!重国籍は面倒くさい!という方は、こちらの記事を参考にしてください。
1.重国籍者が日本国籍を選択するための2つの方法
パターン1:外国籍を離脱する
外国の法令に基づいて、外国籍を離脱すれば、日本の国籍が選択されます。手続きは国ごとに異なりますので、各国の国籍法を確認してください。
外国籍を離脱したのち、その離脱を証明する書面(国籍離脱証明書など)を添付して、「外国国籍喪失届」を提出します。提出先は、市区町村役場または外国にある日本の大使館・領事館です。
- 外国国籍喪失届 ☞提出先に備え付けられています。
- 外国の国籍を喪失したことを証する書面 ☞通常は国籍離脱証明書
※外国語によって作成されている場合は、日本語訳が必要です。
※印鑑も持参してください。
提出先によって必要な書類等が異なる可能性があります。かならず事前に問い合わせるようにしてください。
パターン2:国籍選択宣言をする【オススメ】
国籍選択宣言とは、日本の国籍を選択し、かつ、外国国籍を放棄する宣言をすることです。
国籍選択宣言は、「国籍選択届」(外部リンク:外務省HP)という書類を提出することで行います。提出先は、市町村役場または外国にある日本の大使館・領事館です。
- 提出書類は、国籍選択届のみです。
- ただし、外国にある日本大使館・領事館へ提出するときには、戸籍謄本も必要です。
国籍選択宣言後、いつまでに外国籍を放棄すればいいの?
国籍選択宣言に関しては、国籍法に以下のような規定がされています。
第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。(国籍法より引用)
第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。(国籍法より引用)
第十六条を見ても分かる通り、『いつまでに離脱』という定めは存在しないのです。
つまり、国籍選択宣言後、いつまでに外国籍を離脱しなければいけないということを、日本の法令で強制することができないのです。ですから、第十六条の『努力規定』という形になっているんですね。
また、これは努力規定ですので、外国籍を離脱しないことに対する罰則が存在しないということも、ポイントになるでしょう。
実際に、国籍選択宣言をしたのち、外国籍を放棄していない重国籍の方は、およそ100万人いるとされており、今後も増え続けるのではないかと予測されています。
二重国籍を継続していると、バレますか?
はい、バレます。
重国籍の状態は、戸籍謄本を見れば、簡単に判断できます。
パスポートの更新や婚姻など、戸籍謄本を公的機関に提出する際には、重国籍の状態について言及される可能性がありますよ。
もちろん、その国の事情によって速やかに離脱できる訳ではありませんから、「努力している最中です」と、努力義務を果たしていることを伝えるようにしましょう。
日本国籍を選択するフローをまとめました!
◆ 国籍選択宣言をしたのに、日本国籍を喪失!?
国籍選択宣言をしたにもかかわらず、日本国籍を喪失する可能性があります。
国籍選択宣言後、外国国籍から離脱が完了しないまま、外国の重要な公職(国会議員や裁判官など)についた場合です。
もしもこの人が、日本の国家機密を知っていたらどうなるでしょうか?
その機密情報が外国に流出しかねないことになりますよね?
第十六条2 法務大臣は、選択の宣言をした日本国民で外国の国籍を失つていないものが自己の志望によりその外国の公務員の職(その国の国籍を有しない者であつても就任することができる職を除く。)に就任した場合において、その就任が日本の国籍を選択した趣旨に著しく反すると認めるときは、その者に対し日本の国籍の喪失の宣告をすることができる。(国籍法より引用)
◆ 重国籍と兵役について
世界には、スイスやイスラエル、台湾のように、兵役制度がある国が多いです。
重国籍者は兵役をまぬがれることができるか、ということですが、結論としては、重国籍を理由に、兵役へ就かなくてよいとはなりません。
ただ、国外に定住していると、兵役を猶予されるケースが多いようです。
2.【オマケ】重国籍者が外国籍を選択するための2つの方法
パターン1:日本の国籍を離脱する
第十三条 外国の国籍を有する日本国民は、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を離脱することができる。2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を失う。(国籍法より引用)
日本の国籍法に基づいて、日本国籍を離脱することで、外国籍が選択されます。
日本国籍を離脱する場合には、国籍離脱届を提出します。
- 戸籍謄本
- 住所を証明する書面
- 外国国籍を保有することを証明する書面
住所地を管轄している法務局・地方法務局または外国にある日本の大使館・領事館が提出先です。詳細な手続きは、こちらのページでご確認ください。
パターン2:外国籍を選択する
第十一条
外国の法令に基づいて、外国籍を選択すれば、自動的に日本の国籍から離脱します。
手続きは国ごとに異なりますので、各国の国籍法を確認してください。
3.22歳までに国籍の選択をしないとどうなるの?
重国籍の状態を続けたとしても、現状罰則はありません。
公職選挙法にも違反しないので、なんと政治家にだってなれちゃうんですよー(棒読み
ただし、罰則こそないものの、デメリットと考えられる点がいくつかあるのも事実です。
重国籍の状態を続けることによるデメリットは、以下の4つです。
- 国籍法の改正や、努力規定確認の厳格化の可能性(低)
- パスポートの更新の際など、重国籍であることを指摘される可能性(高)
- 日本の国家機密を扱う国家公務員職(外交官や警察官)への就職ができない(事実)
- 海外の国会議員や裁判官などに就くことができない(事実)
①の国籍法が改正されたり、努力規定確認が厳格化されたりする可能性は極めて低いです。可能性がゼロとはいえませんが、明確なデメリットであるとはいいがたいでしょう。
②に関しては、指摘される可能性は高いものの、法令に違反しているわけではないので、「外国籍離脱に向けて努力中です」といえば、何の問題もありません。面倒くさい以外のデメリットはないと思います。
重国籍の方は、「国家機密情報を扱う」国家公務員職への就職ができなくなります。これは、本人だけでなく、身内全員が影響を受けます。
最後の④については、こちらで既に説明した内容ですので、ここでは割愛します。
4.重国籍の状態を解消するには? ~まとめ~
重国籍は22歳までに国籍を選択する猶予が与えられている状態
◆日本国籍を選択する場合
☞2パターンあるが、国籍選択宣言が一般的
◆外国籍を選択する場合
☞2パターンある
◆国籍を選択しないとどうなるの?
☞バレる。国籍選択宣言をしてれば、努力義務を果たしていると言える。
☞罰則はない。選挙活動を行っても、公職選挙法に違反しない
☞ただし、機密を扱う公務員にはなれない。一族に影響あり。
いかがでしたか?
たしかに面倒くさい手続きですから、そのように考える方もいらっしゃるでしょう。
ただ、私は重国籍が子供の将来的な可能性を広げるものだと思いますし、国籍を選択する中で、子供が自分というものを考えて成長することができるとも感じています。
日本人同士の結婚で産まれたお子さんでしたら、自分のアイデンティティについて両親と話し合うという機会は、なかなか無いんじゃないかと思いますよ。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!