長期間海外に行くときに手続きをしないと、在留資格がなくなると聞いたけど…?
日本にいる外国人は様々な理由で海外に出国することが考えられます。
ビジネス目的、旅行の目的、里帰り目的などが代表的な理由でしょうか。中には、母国や第三国に移り住み、日本には戻ってこない方もいるかもしれませんね。
通常外国人は、在留資格を得て日本に滞在していますが、海外に出国することにより、日本の在留資格が消滅します。そして、日本に再入国する際に、新たに在留資格を取得するのです。
ただ、出国の際に再び日本へ戻ってくることが分かっている場合、在留資格の再取得手続きをその都度やるのは正直面倒くさいですよね?
出入国在留管理庁の業務負担も相当なものになります。
これははっきり言って時間のムダです。
それほどむずかしくありませんが、知らないと大変なことにつながりかねない制度ですね。
この記事では、外国人が出国する際に、必ず必要になる再入国許可とみなし再入国許可について、シッカリと解説していきます!
◆ 再入国許可とみなし再入国許可について、どういうものかをご理解いただけます。
◆ 再入国許可とみなし再入国許可を、ケースバイケースで使い分けられます。
◆ それぞれの手続き方法について、ノウハウを身に付けていただけます。
将来的に永住ビザや帰化を考えている外国籍の方はご注意ください。
3ヵ月以上の海外出国は、日本滞在歴がリセットされますので、永住ビザ・帰化の申請の際、大きな影響を受ける可能性があります。
1.再入国許可
(1)再入国許可とは
再入国許可とは、海外に出国して日本に再入国する時の手続きを簡素化する目的の制度です。再入国許可を受けることで、次の2点で入国時手続きが簡素化されます。
- 上陸・入国時に必要となるビザ(査証)が免除
- 在留資格の再取得が免除(現在の在留資格と在留期間が継続)
(2)どんな時に再入国許可が必要なの?
下記「以外」の外国人が、将来的な日本への再入国を希望する場合、手続きが必要です。
- 在留資格をもって在留し、3月以下の在留期間を決定された外国人
- 在留資格「短期滞在」で在留する外国人
- 1年を超える出国が見込まれる場合には、再入国許可を受けてください。
- 1年以内の出国であれば、再入国許可ではなく、みなし再入国許可を受けます。
(3)再入国許可の有効期間と種類
再入国許可の有効期間
次の期間のうち、いずれか短い期間となります。
(イ)出国に日から5年間※特別永住者は6年
(ロ)現に有する在留資格の在留期限までの期間
再入国期間は、一回限り延長することが可能です。詳しくは、こちらをご覧ください(ページ内リンク)。
再入国許可の種類
再入国許可には2つの種類があります。一つは、一回限り有効なものと、もう一つは、有効期間内であれば何回も使用できる数次有効のものです。
- 一回限り有効なもの ☞Single(シングル)
- 有効期間内であれば、何回も使用できるもの ☞Multiple(マルチプル)
この後説明しますが、シングルの手数料だと3,000円、マルチプルなら6,000円かかります。
(4)どうやって手続きするの?
手続きする場所
住居地を管轄する出入国在留管理庁で行います。
本人はもちろん、出入国在留管理庁から申請取次の許可を受けている人や行政書士も申請することが可能です。
☞出入国在留管理庁の連絡先一覧(リンク先にジャンプします)
必要なもの
本人が申請する場合には、次のものを窓口に提出します。
(5)再入国期間の延長
再入国許可を受けて出国したものの、ケガや病気をしてしまった、家庭の事情でどうしても滞在を延期せざるを得ない、など、出国先では様々な事態が考えられます。
その結果、再入国期間を過ぎてしまう場合には、その期間の延長を行うことができます。
すでに受けている再入国許可の有効期間内に行う必要がありますよ。もしも期限を過ぎてしまっていると、原則として延長手続きを行うことはできません。
最寄りの在外公館に相談に行くべきですが、総合的な判断のもと期間延長を認めるべきかが決定されますので、確実に延長できる保証はありません。
仮に延長できたとしても、従来の在留資格は喪失します。※永住者、特別永住者含む
延長できる有効期限
次の期間のうち、いずれか短い期間となります。
(イ)最初の許可を受けた日から6年以内まで ※特別永住者は7年
(ロ)現に有する在留資格の在留期日までの期間
手続き方法
最寄りの在外公館(日本大使館、総領事館など)または在外公館が承認した代理申請機関で手続きをおこないます。
その際には、下記のものを持参するようにしてください。
① パスポート
② 有効期限延長申請書 ☞代理申請機関で取得します。また、延長を希望する理由を記載します。
③ 上記②に記載した理由に関する証拠資料
④ 在留カード又は特別永住者証明書 ☞コピーでOK
注意点
数次再入国許可(マルチプル)を受けていたとしても、在外公館で再入国機関の有効期限を延長した場合には、一回のみ再入国許可が有効という内容に切り替わります。
つまり、帰国後、再び日本を出国する際には、新たに再入国許可またはみなし再入国許可を取得する必要がありますので、注意してくださいね。
2.みなし再入国許可
(1)みなし再入国許可とは
みなし再入国許可の趣旨は、再入国許可と変わりがありません。みなし再入国許可とは、再入国許可の更なる簡易版です。
再入国までの期間が1年以内の場合、出入国在留管理庁での手続きさえ不要で、出国空港での簡易な手続きでOK!という制度が、みなし再入国許可になります。
(2)どんな時に再入国許可が必要なの?
下記「以外」の外国人が、将来的な日本への再入国を希望する場合、手続きが必要です。
- 在留資格をもって在留し、3月以下の在留期間を決定された外国人
- 在留資格「短期滞在」で在留する外国人
- 1年以内の再入国が見込まれる場合には、みなし再入国許可を受けます。
- 1年を超える出国が見込まれる場合には、再入国許可を受けてください。
(3)みなし再入国許可の有効期限
次の期間のうち、いずれか短い期間となります。
(イ)出国の日から1年間※特別永住者は2年
(ロ)現に有する在留資格の在留期限までの期間
みなし再入国許可の場合には、出国後の有効期限の延長はできません。
(4)どうやって手続きするの?
みなし再入国許可により出国しようとする場合は、出国時に入国審査官に対して、みなし再入国許可による出国を希望する旨を伝えます。
再入国出国記録(再入国EDカード)に、みなし再入国許可による出国を希望する旨のチェック欄が設けられていますので、こちらにチェックを入れてください。
そして、入国審査官に提示し、みなし再入国許可による出国を希望する旨を伝えます。
3.まとめ
出国から1年以内に入国予定なら、みなし再入国許可
☞空港で手続き可能
出国から1年を超えて入国予定なら、再入国許可
☞事前に出入国在留管理庁で手続きが必要
5年を超えて入国予定の場合は、再入局許可は受けられない
☞1回限り、期限を延長することが可能
☞延長は再入国許可のみ。みなし再入国許可は不可
再入国許可の期限を超えた場合には、在留資格が取り消される
☞永住者も取り消されるので注意!
いかがでしたか?
外国人の方が、再入国許可(みなし再入国許可含む)を受けないまま出国すると、在留資格を喪失するという恐ろしいことが起こってしまいます。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!