子供が二重国籍なんだけど、パスポートはどうやって使い分けるの?
お子さんが多重国籍の場合、国籍分のパスポートを所有し、使用することになります。
複数のパスポートを所持できると、なんとなくお得な感じもしますね!
その一方で、いくつかの疑問点も生じてくると思います。
- パスポートをどのように使い分けるのでしょうか?
- パスポートの表記名はどのようになるのでしょうか?
この記事では、重国籍者が複数のパスポートを所持した場合、どうやってパスポートを使い分ければよいのかについて説明していきます。
お子さんが重国籍者になることが分かっている場合には、事前に目を通しておいた方がよい内容ですよ!
◆ パスポートを使い分けるルールについて説明します。
☞アメリカ渡航の注意点を補足します
☞航空券購入時の注意点をお伝えします。
◆ 複数パスポート所持の法的解釈をお伝えします。
1.パスポートを使い分けるルールは?
(1)パスポートの使い分けルール
パスポートの使い分けについては、非常にシンプルです。
- 国籍がある国の出入国 ☞原則として、その国のパスポートを利用
- 国籍がない国の出入国 ☞どの国のパスポートでもOK
①については、その国のパスポートで入国すれば、その国の国民として認識されます。
ですから、ビザがなくても無期限で滞在することが可能になります。参政権だってありますし、就労などへの制限もありません。…その分、納税義務等も生じることになりますが。
②については、持っているパスポートのうち、どちらのパスポートで入国するのが良いかで考えましょう。ノービザで渡航できる国もあれば、そうでない国もありますからね。
たとえば、日本と中国の二重国籍のお子さんがいたとしましょう。
この場合、日本の出入国は日本のパスポートで出入国します。
中国の出入国は、中国のパスポートでを使用します。
これ以外の国は、ビザ取得が必要かどうかで判断します。
- 台湾に入国する場合 ☞日本のパスポートが便利
- インドに入国する場合 ☞日中どちらのパスポートでも問題なし
台湾は、日本のパスポートを所有していれば、30日以内の滞在はノービザで可能です。
一方、インドの場合、日本も中国も事前にビザを取得している必要があります。
(2)アメリカへ入国する際の注意点
日本からアメリカへ入国するときには、次の点に注意してください。
- 航空会社へのチェックインは、アメリカのパスポートを利用する
- 日本での出国審査については、日本のパスポートを利用する
- アメリカの出入国は、アメリカのパスポートを利用する
アメリカは航空会社に対して、入国旅客のパスポートデータを事前に送付することを義務付けています。
出発空港でのチェックイン時にパスポートを出すと、航空会社はコンピュータでデータを読み込み、アメリカの国境警備局へ送信することになっているのです。
また、アメリカでは、アメリカ国民がアメリカの出入国をするにあたっては、アメリカパスポートを利用することが、法令によって定められています。
アメリカへの入国は、たとえトランジットだとしてもESTA申請が必要ですが、アメリカ国籍を持っている重国籍者は、ESTA申請は不要です。
(3)航空券を購入する際の注意点
航空券とパスポートの名前が一致していないと、トラブルが生じる可能性があります。
出発空港では、航空券とパスポートを同時に求められますよね?あれは、本人かどうかの確認もそうですし、相手国へ入国できるかどうかを確かめているのです。
航空券の購入時に注意をしておくことが重要ですが、万が一トラブルになった場合には、両方のパスポートを提示することで、解決できることが多いので知っておくとよいでしょう。
日本名と外国名を使い分けている人は、それぞれのパスポートに、表記されていない名前をカッコつきで併記してもらうとよいですよ!
2.日本におけるパスポートに関する法解釈
(1)パスポートの複数所持を制限する法律はない
日本では、22歳までに国籍を選択しなければいけない法律があります。
しかし、そもそも自分が国籍選択の対象者と気づかないまま、22歳を過ぎてしまっている人が多いのも事実です。
この様な場合、パスポートの複数所持が問題になるかというと、問題にはなりませんのでご安心ください。
ここでの説明は、ご自身の国籍分のパスポートを所持しているケースを説明しています。
あたりまえですが、日本の国籍しか保持していない人が、日本のパスポートを複数受給することは、旅券法に違反しますのでお気を付けくださいね。
(2)出入国の記録でとがめられることは?
日本からの出国時に日本パスポートを利用すると、出国が記録(スタンプ)されます。
出国先のA国から日本へ出国するときには、A国のパスポートを利用しますよね?そうすると、A国の出入国記録(スタンプ)が日本パスポートには記録されないことになります。
日本への入国時にとがめられることはありませんが、理由を尋ねられることはあります。
近年、出入国のスタンプを押印しない国も増えてきています。日本でも自動化ゲートを通れば、スタンプ押印はありませんね。※入国時は、入国後に任意でスタンプ押印してもらえます。
(3)重国籍状態をとがめられたら…
ちょっと考えづらいですが、万が一、22歳を超えて重国籍であることをとがめられたら、「努力している最中です」と、努力義務を果たしていることを伝えるようにしましょう。
3.重国籍者の複数パスポート使い分け ~まとめ~
◆ 日本の出入国は、日本のパスポートで!
◆ その他の国籍取得国への出入国は、その国のパスポートで!
◆ それ以外の国は、ビザ発給が必要かどうかで使い分け。
◆ パスポートの複数所持を禁じる法令はないので堂々と!
いかがでしたか?
今回はパスポートの複数所持と、その使い分けについて説明しました。
国際結婚をすると、産まれてくるお子さんが重国籍ということも多いでしょう。
生まれてすぐにパスポートが必要になることもあると思います。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!