今まで国民年金を払ってこなかったんだけど…免除申請ってできるの?
外国人の方を前提に記事を執筆しましたが、法律の内容は日本人も全く同じです。こちらに書いてある内容を、そのまま使っていただけます!
外国人の方は、住民登録をすれば自動的に国民年金にも加入できる! と思っている人が多く、気づかない間に国民年金が未納になっている人が後を絶ちません。
国民年金は、日本に住民票がある人は、全員加入する義務があります。2012年以降、外国人も住民票を登録するようになりましたので、外国人も国民年金への加入しなければならないのです。
国民年金が未納(滞納)状態になると、以下のようなデメリットが生じますよ。
- 在日中に障害になっても、一切保障はされない
- 遺族基礎年金も支払われない
- 年金保険料を強制徴収される可能性がある
- 脱退一時金制度は利用できない
- 就職の際にトラブルになる可能性がある
- 永住申請と帰化申請の要件が不許可になる
滞在中の外国人の方で、国民年金に未加入の方は、各市区町村役場に行き、年金加入手続きを行うことをオススメします。
☞外国人が国民年金に加入する方法は、こちらの記事をお読みください!
この様に書くと、ひょっとしたら次のように反論する方も、いるかもしれません。
…はい、たしかに今まで未納だった国民年金保険料も支払う必要があります。
しかし、経済状況等によっては、国民年金の免除制度を利用でき、保険料の支払いが免除されるんですよ! ほかにも、支払猶予制度というものもあります。
この記事では、国民年金の免除等申請について、わかりやすく解説していきます。
◆ 免除等の対象者となるのは、どんな人?
◆ 免除等は、具体的にどのような内容なの?
1.国民年金の免除制度対象の第一号被保険者とは?
国民年金が免除等されるのは、第1号被保険者に該当する場合だけです。
第1号被保険者には、以下のような方が該当しますよ。
◆ 第1号被保険者に該当する人
- 20歳以上60歳未満の自営業者・農業者とその家族
- 20歳以上60歳未満の学生、無職の人
- 婚姻前の留学生、厚生年金未加入の会社勤めの場合などが該当します。
- 婚姻後は、日本人配偶者が自営業の場合が該当します。
2.国民年金の『法定免除』と『申請免除』
国民年金保険料の免除等制度には、法定免除と申請免除の2種類があります。
法定免除とは、おもに人道的な観点から、国民年金保険料が免除されるものをいいます。
申請免除とは、おもに財政的な事情の考慮により、保険料が免除されるものをいいます。
申請免除は、一般の所得免除・学生納付特例・納付猶予・失業者の特例免除の4種からなります。
(1)法定免除って?
法定免除は、人道的な観点から当然のように国民年金保険が免除されるケースです。
以下に該当する場合には、法定免除を受けることができます。
- 障害年金1級または2級を受給している人
- 生活保護(生活費)を受けている人
- ハンセン病療養所等に入所している人
日本年金機構が法定免除の方を自発的に探すことはしませんので、上記に該当する方は、市区町村役場に行って、ご自身で届け出る必要があります。
法定免除の特徴は、届出をするだけで認められ、かつ、全額免除になることです。
⇒永住ビザの申請要件については、こちらの記事にまとめました!
⇒帰化するための要件については、こちらの記事にまとめてあります!
(2)申請免除って?【重要】
申請免除は、主に財政的な事情の考慮により、国民年金保険が免除されるケースです。
申請免除は、法定免除と異なり、届出だけでは認められず、審査があります。
また、全額免除になるとは限らないので、注意してください。
申請免除については、次の4種類がありますよ。
- 一般の所得免除 ☞所得に応じた4段階の免除があります
- 学生納付特例 ☞全額免除の対象です(年金受給額には反映なし)
- 若年者納付猶予 ☞全額免除の対象です(年金受給額には反映なし)
- 失業者の特例免除 ☞4段階の免除があります
① 国民年金の一般の所得免除について
一般の所得免除については、第1号被保険者で、下記に該当する人が申請できます。
※ただし、学生を除きます! 留学生の方は、『学生納付特例制度』を利用します。
- 前年の所得が一定額以下の人
- 生活保護(生活費以外)を受けている人
- 地方税法上の障碍者または寡婦で、前年所得125万円以下の人
- 天災その他厚労省が定める事由(失業・事業廃止など)がある人
生活保護は、本人だけでなく、他の世帯員が受けている場合も該当します
一般所得免除を申請により免除される国民年金保険料の金額は、4ランクに分けられます。
最も有利なのが全額免除で、4分の3免除、半額免除、4分の1免除とつづきます。
世帯所得の程度等に応じて、年金保険料の減免額・負担額が決定されますよ。
世帯収入の金額と年金免除の判定は、具体的な算定基準がありますのでご紹介しますね。
保険料を免除すべき月の属する年の前年の所得(1月から6月までの月分の保険料については、全前年の所得)金額が、次の算式で計算した金額以下であるときには、国民年金の免除を受けることができます。
- 全額免除 ☞(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
- 4分の3免除 ☞78万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除額
- 半額免除 ☞118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除額
- 4分の1免除 ☞158万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除額
①総所得金額・退職所得金額・山林所得金額
②土地等に係る事業所得等の金額
③長期譲渡所得の金額
④短期譲渡所得の金額
⑤先物取引に係る雑所得等の金額
所得金額の要件をみたしている場合、市区町村役場に行き、免除等の手続きを行うことで、国民年金保険料の減免を受けることができます。
国際結婚前、あなたの外国人パートナーの所得が低いとき
国際結婚後、あなたが自営業・農業を営んでいるが、所得が低いとき
② 国民年金の学生納付特例制度について
学生納付特例制度については、第1号被保険者(学生)で、下記に該当する人が申請できます。
- 前年の所得が118万円以下の学生
- 生活保護(生活費以外)を受けている学生
- 地方税法上の障碍者または寡婦で、前年所得125万円以下の学生
- 天災その他厚労省が定める事由(失業・事業廃止など)がある学生
生活保護は、本人だけでなく、他の世帯員が受けている場合も該当します
学生納付特例制度の『学生』とは、次の人をいいます。
- 大学(院)・短大・高等学校・高等専門学校・専修学校・修業年限が1年以上の各種学校(日本語学校の1年以上コースなど)
- 夜間・定時制課程、通信制課程の学生も対象です。
上記の要件をみたしている場合には、市区町村役場に行き、免除等の手続きを行うことで、国民年金保険料の免除が受けられます。
なお、厚生労働大臣の指定を受けた大学等は、学生から委託を受ける形で代理申請を行うことができます。大学等が申請を受託した日に、学生納付特例制度の申請があったとみなされます。
学生納付特例制度を利用すると、学生の期間の納付は全額免除されますが、老齢基礎年金受給額には一切加算されないので注意してください。
追納することで、老齢基礎年金の受給額に加算できますが、以下2点に注意してください!
- 10年前までしかさかのぼって納められません
- 3年前以前の分の追納をすると、『追加加算額(利息)』も負担します
留学生との国際結婚を考えているとき
③国民年金の若年者特例納付制度
ニート・フリーター対策としてH17年4月からH37年6月までの期間、特例として認められている制度が、若年者特例納付猶予制度です。
若年者特例納付制度については、第1号被保険者(50歳未満)で、他の免除制度の適用を受けておらず、下記に該当する人が申請できます。
- 前年の所得が『(扶養親族の数+1)×35万円+22万円』以下の人
- 生活保護(生活費以外)を受けている人
- 地方税法上の障碍者または寡婦で、前年所得125万円以下の人
- 天災その他厚労省が定める事由(失業・事業廃止など)がある人
『前年所得』とは、本人及び配偶者の所得に関する要件です。世帯主の所得は、判断対象外です
生活保護は、本人だけでなく、他の世帯員が受けている場合も該当します
上記要件をみたしている場合には、市区町村役場に行き、免除等の手続きを行うことで、国民年金保険料の免除を受けることができます。
若年者特例納付制度を利用すると、対象期間の納付は全額免除されますが、老齢基礎年金受給額には一切加算されないので注意してください。
追納することで、老齢基礎年金の受給額に加算できますが、以下2点に注意してください!
- 10年前までしかさかのぼって納められません
- 3年前以前の分の追納をすると、『追加加算額(利息)』も負担します
失業による退職特例免除
失業した場合にも、申請することで、国民年金保険料の納付が免除となったり、猶予となったりする場合があります。
重要なのは、配偶者や世帯主の所得金額も低く、退職者をフォローするに足る能力が有していないと考えられるかどうか、という点です。
手続きには、離職票の写し等が必要になります。
国際結婚後、あなたが独立退職したり、失業したりした時
(3)免除等の手続き
国民年金の免除等の申請手続きは、住民登録をしている市区町村役場の、国民年金担当窓口です。原則として、申請者本人が手続きを行ってください。
なお、保険料の免除される期間は、次のように決定されます。
- 免除等の期間 ☞7月~翌年6月
- 学生納付特例の期間 ☞4月~翌年3月
なお、保険料の納付期限から2年を経過していない期間については、さかのぼって免除をしてもらうことができます。学生納付特例制度、若年者納付猶予制度についても、同様にさかのぼって免除を受けることができます。
3.国民健康保険の免除等申請 ~まとめ~
いかがでしたか?
国民年金保険料はかならず納付することから出発し、できるかぎりお得に納付をしようという流れで、お話をしてきました。
国際結婚という場面で使えるかというと、確率的には五分五分かと思いますが、いざというときに知らなかった! では、もったいないと思います。
ほとんどの場合は、申請免除の知識だけで問題ないはずです。
国際結婚をする前の方も、した後の方も、もう一度要件を確認してみてはいかがでしょうか?
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!