国際結婚をするときには、とにかくお金がかかります。
実際のところ、どれくらいお金が必要なのかって、ものすごく気になりますよね?
必要なお金が分かれば、資金計画も立てやすくなりますし、お金のシミュレーションがしやすくなりますからね。
この国際結婚の費用を考えるうえで、金額を大きく左右するのが「結納金」の存在です。
- そもそも海外に結納文化はあるの?
- 国際結婚での結納金の相場は、いくらなの?
結納金の有無も重要ですし、仮に結納金がある場合には、相場がどれくらいなのかによって、国際結婚にかかる費用の総額がかなり変動しますよね。
といは言うものの、結納については、日本国内でもかなり地域差があります。
ましてや文化の異なる海外ですから、国際結婚における結納について分からない人も多いのではないでしょうか?
この記事では、国際結婚における結納事情について、分かりやすく説明します。
1.海外にも結納ってあるの? ~海外の結納事情~
結論からいうと、海外にも結納文化は「あります」。
正確にいうと「結納っぽい文化」を持つ国があります。
もともと「結納」は、日本独自の文化です。ですから、海外にある結納っぽい文化は、正確には結納ではありませんし、儀式の持つ意味が日本とは違うことも多いです。
- パートナーの国では、結婚前に結納のような儀式を行うのか?
- また、結納金のやり取りはあるのか? 結納金を贈る意味はなんなのか?
このような事情を知っておかないと、パートナーのご家族とトラブルになる可能性があります。
まずは世界における結納文化がどのようなものなのか、一緒に確認していきましょう。
日本の結納文化の意味
日本における結納は、婚約を公にするという意味があります。
また、結納の義を取り交わすことで、両家の結びつきを祝うという意味もあります。
結納金は、「花婿の家」から「花嫁の家」に対して支払われる「結婚準備金」という意味合いがあります。
これらのことから、日本の結納は、「家」を重視したものであることが分かりますね。
ちなみに結納の実施率は、約30%となっていますが、北海道は10%台、青森・秋田・岩手は40%台と、かなり地域差があるようです。
キリスト教圏
キリスト教圏では、「婚約式」という儀式を行うことが一般的です。
結婚を決めたカップルが、教会で聖職者が立ち会う中で、神と参列者に結婚することを誓う儀式です。金銭等の授受は行われません。
近年では、日本でも結納にかわり婚約式を行うカップルが、少しずつ増えているそうです。本来は信者でなければ教会で婚約式は挙げられませんが、信者以外も利用できる教会が増えつつあります。
イスラム教圏
結婚時に「マフル」というものを、花婿から花嫁へ贈る習慣があります。
以前は花嫁の父親に支払われていましたが、現在は花嫁個人に支払われ、花嫁個人の財産とされます。
マフルはイスラム教下においては非常に重要なもので、マフルの支払になしに結婚契約(イスラム教において結婚は契約です。契約書も交わします)は成立しません。
マフル=結婚契約金に近いイメージですね。
ちなみに、マフルは現金だけでなく、不動産やその他物品でも良いのですが、貧困層では準備することが難しい金額で、晩婚化の一因として指摘されることもあるそうです。
仏教圏
仏教においては、結婚時における明確な儀式を定めてはいません。
ただし、原始仏教においては、「親孝行」を大切にする教えが多くあります。
これが発展して、今まで育ててくれた両親へのお礼として、結納金のようなお金を支払うことがあるようです。
ただし、国や地域によってその金銭の解釈は異なりますし、場合によっては「取れるものは取っておけ」くらいのケースもあるかも知れません。
ここまでの内容でわかることは、キリスト教とイスラム教以外は、結納に関して宗教との関連性が認められないこと。また、国や地域によって解釈が異なるため、国際結婚をするなら、現地の事情を調査しておくことが必要だということです。
2.各国の結納事情 ~結納の意味と結納金事情~
お相手の宗教がキリスト教・イスラム教でない場合は、その国の習慣を知っておかなければ、トラブルになりかねないでしょう。
ここでは、日本人男性と結婚例が多い国における、結納の意味をお伝えします。
(1)中国
中国には伝統的な結納の義があり、次のような意味があるといわれています。
- 新郎側が新婦側に経済力を示して、新婦の一族を安心させる
- この結婚に対する新婦側の世間体を保つ
新郎側の家族が新婦側の家族を訪ね、純金のアクセサリーやプレゼントを新婦に送ります。
この時に「彩礼钱(ツァイリーチェン)」という結納金も渡します。※婚約と結婚の時の2回に分けて渡すこともあります
ちなみに、この結納金は大変高騰しており、中国国内でも問題視されています。初任給では到底払えないような金額を要求されることも、少なくないのだとか。
それだけではありません。
中国では婚約をするために、新郎が新居と車を用意しなければならないことが多いのです。
新郎側の経済的負担は見過ごせないものになっており、「彩礼钱」は中国での結婚トラブルの大きな原因となっているのです。
中国では男性が女性の両親に結納金に相当する「彩礼」を支払う習慣がある。ここ10年間の中国経済の成長に伴って親の期待が高まり、いまや新築住宅も含まれるようになっている。
かつては1万1000元(約18万2400円)程度だった彩礼だが、現在では少なくとも100元紙幣1.5キロ分と自動車1台、住宅1戸が要求されていると河北省の代表は説明。「結婚を望む若い男性は70万元(約1160万円)程度を支払う必要があり、この経済負担が地方での貧困の主因になっている」と指摘した。
多額の彩礼を受け取ることで、自らの生活水準をよくしようと考える親の姿勢も問題だとしている。(ロイター通信 2019年3月13日 引用)
(2)タイ
婚約の際に結納の義を行い、金品を新郎側から新婦側へ渡します。
新婦を育ててくれた両親への感謝と結婚支度金としての意味で、結納金を納めます。
結納金の金額は、話し合いによってが決まります。
男性としての器量を試すべく、最初の段階では相当高額な結納金を支払うよう、吹っ掛けられることもあるそうなので、注意が必要ですね。
(3)ベトナム
「An Hoi(アンホイ)」という儀式を行う習慣があり、これは日本の結納に相当します。
両家の家族が顔合わせをし、懇談を通じて親族の絆を深めるのです。
また、カップルはご先祖様に手を合わせて、誓いの義を行います。
結納金に関しては、一般的な存在のようですね。
(4)フィリピン
キリスト教の方が多い国ですから、お相手のご家族に挨拶をし、婚約式をがするのが一般的です。結納金の文化はほとんどないようです。
(5)インドネシア
お相手の宗教によりますが、基本的に結納文化はないようです。
ただし、イスラム教徒の方が多い国なので、その場合にはマフルが必要になります。
3.国際結婚で支払うべき結納金の金額
国際結婚において、結納金をいくら支払うのか?という問題は、思っている以上にデリケートですし、むずかしい問題です。
なぜならば、パートナーの国の経済状況や習慣、お相手の家族の状況などによって、金銭感覚がまるで変ってくるからです。日本とお相手の国との経済格差も、支払うべき結納金の額に影響してきます。
このように考えると、国際結婚での結納金は、「絶対にこうするべき!」「いくら支払わなくてはダメ!」という共通ルールを設けるのは、ほぼほぼ不可能でしょう。
国際結婚の場合、結納金をいくら支払うのかについては、パートナーと話し合って決めるのが一番だと思います。そのうえでご両親に挨拶へ行けば、大きなトラブルになることは少ないはずです。
もしも結納金の習慣がない国でも、ご両親にいくらかお支払するとよいでしょう。
家族の一員として迎え入れてもらうわけですし、この後の関係を考えると、いくらかお支払いして良い関係を築いた方が、間違いなく賢い選択です。
海外の結納金事情と国際結婚の結納金 ~まとめ~
結納は日本独自の文化ですが、海外にも結納に似た文化がたくさんあるんですね。
また、名称は異なりますが、結納金の文化もあることがわかりました。
ところで、今回の記事は、私が”とある失敗”をした後、「これはマズイ!」と思って調べた知識に基づき作成しました。
記事の締めくくりに”とある失敗”について、お伝えしておきますね。
じつは私、外国人妻と国際結婚するときに、結納(のような)文化は日本にしかないと思っていたんです。
ですから、彼女の両親に結納金の話なんてしませんでしたし、当然のように1円も支払いませんでした。
私の妻は中国人です。本記事でも説明しましたが、中国は結婚時にかなりの結納金を用意しなくてはなりません。
今思えば、よく結婚できたものですね…妻も言ってくれればよかったのにと思うのですが、妻からも、妻の両親からも何も言われませんでした。
今では大変失礼なことをしてしまったと後悔しています(汗)
もちろん、その後、結納金という名目ではなく、別の名目でお金をお支払いしましたが…私は、彼女の一族からとてつもない貧乏人だと思われていたようです(笑)
これから国際結婚をするあなたは、私と同じ過ちを犯していただきたくありません。
この記事を参考に、正しく結納を進めていただけると嬉しいです。
今回も、最後までお読みいただき、ありがとうございました!