外国人受け入れ

外国人労働者受入(特定技能)問題を、Mensa会員が語ります!

外国人労働者の受入問題・特定技能を世界一わかりやすく解説
                  

外国人労働者受入が閣議決定されました!

 

連日のように報道がある外国人労働者の受入問題。

でも正直なところ、表層的な報道しかされておらず、何が何だかちんぷんかんぷん!という人も多いのではないでしょうか?

外国人労働者の受け入れ、そして新しい在留資格「特定技能」の創設は、今後の日本の労働環境に大きなインパクトを与える政策です。

MAKO
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それほど大きな話なのに、国民が本質を理解しないまま、政策だけが独り歩きする状況はどうかと疑問を覚えるのです。

今回は、外国人労働者の受入れと、「特定技能」の創設の意義を一人でも多くの人に理解してもらえればと思い、記事を作成しました。

外国人労働者受入問題を正しく理解することは、今後の日本社会を予見するうえで、とても重要なファクターです。

次のようなことが気になる方は、ぜひこの記事を読み進めてほしいと思います!

① 今回の件は、移民政策ってことなの?

② 外国人労働者の受入、っていうけどさ。すでにたくさんの外国人が働いてるよね?何が問題なの?

③ 技能実習と特定技能って、何が違うの?

④ 今回の件が正式に法令化されると、将来的にどうなるの?

KEY
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ぜひ最後までお付き合いくださいネ♪

1.日本における外国人労働者の位置づけ

たくさんの外国人労働者が溶け込んでいる日本人社会
MAKO
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まずは、日本における、外国人労働者の位置づけを理解しましょう。
KEY
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少し長いですが、この問題を理解するうえで、とても大切な内容デス。

(1)日本の生産労働人口が激減している

日本は未曽有の人手不足に見舞われています。

2017年には、44年ぶりに有効求人倍率が1.5倍を超えたと、大きく報道されました。

2018年に入ると、有効求人倍率はさらに上がり、1.6倍台をキープしています。

これが景気によるものならばよいのですが、残念ながら、原因は別のところにあります。

高い求人倍率の原因は、少子高齢化による労働生産人口の減少です。

労働生産人口は、2013年に7901万人となり、32年ぶりに8000万人を下回りました。

2060年には、約4400万人にまで減少すると予測されています。

※上記は、総務省がH26年に情報通信白書のポイントの中で開示した資料の引用です。

もしも、供給サービス量を減らさないまま、労働力が減少したらどうなるでしょうか?

  • 一人当たりの仕事負担が増大しますから、全体生産性を維持するために、働き方の見直しに迫られます。
  • もちろん、新しい労働力の供給源も確保する必要があります。

これらは、課題先進国である日本が、まさに直面している問題です。

日本政府は「労働力の質を上げ、労働者の量も増やしていこう」という方針を打ち出しています。

前者については、働き方改革やAI化の推進などが該当します。

後者については、女性やシルバー人材の活用が該当しますが、もっとも即効性が期待できる対応策として、外国人材の受け入れを強力に推進しようとしているのです。

(2)日本の外国人材に対するスタンス

外国人労働者の階層について説明している

さて、一言で「外国人材」といっても、そこにいる外国人の性質は千差万別です。

ここでは国の政策をわかりやすく可視化するために、外国人材を便宜的に3つのヒエラルキーに分類します。※差別的な意識はありませんのであしからず

上 位:ホワイトカラー層に属する高度外国人材

中 位:日本語力の向上などによって、上位に移行できる外国人材

下 位:日本語もおぼつかなく、出稼ぎの目的が多いブルーワーカー層

日本政府は、外国人材を3つのヒエラルキーに分類し、それぞれに対して異なる政策を行ってきたのです。

アジアゲートウェイ構想 = アジア高度人材の受入

高度外国人材によるミーティング風景

将来の人手不足が深刻視されつつあった2000年代、政府は「高度な外国人材は、積極的に受け入れる」方向に舵を切り始めました。

あなたは、“アジアゲートウェイ構想”をご存知でしょうか?

簡単にまとめると、「成長著しいアジア市場の勢いを活用して、日本もステップアップするぞ」「アジアでリーダーシップを発揮するぞ」というもの。

“アジアゲートウェイ構想”の「問題意識」では、次のような内容が記載されています。

人口減少を迎えた日本として、スピード感をもって国をオープンにし、海外の活力を取り込むことが必要。

※参考HP:首相官邸(アジアゲートウェイ構想の概要)

また、”アジアゲートウェイ構想”には10の最重要項目があるのですが、その中に次の様なものがあります。

 アジア高度人材ネットワークのハブを目指した留学生政策の再構築

◆ 世界に開かれた大学づくり

日本としては、アジアの高度人材(ヒエラルキー上位)を取り込むことで、人口減少問題に対応していきたい。

しかし、即戦力の呼び込みだけでは不足しているため、多くの留学生(ヒエラルキー中位)に日本の大学へ入学してもらい、将来の高度人材候補となってもらう。

こういうことですね。

上位:高度人材の方向けの新しいビザ(在留資格)を創った

まずは2012年に、高度外国人材向けのビザ「高度専門職1号・2号」を新設しました。

オフィスビル群を見上げる高度専門職の外国人材

高度専門職は、他の就労ビザと比べて明らかに優遇された内容になっています。

 

たとえば、親の帯同が許されたり、永住許可を受けやすくなるなどですね。

 

外国人の方が、日本に長期滞在しやすくなる内容になっているのです。

さらに2017年には、「日本版グリーンカード」というキャッチフレーズで、実質1年間で永住許可が受けられるようになりました。

政府は、永住許可を1年にすることで、2017年末には、高度専門職の登録者数が10,000人まで急増すると見込んでいました。

しかし、実際には、6,000人程度までしか伸びませんでした。

MAKO
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私の知人のIITの卒業者や、北京大学の卒業者も、なぜか通常の就労ビザのままでしたね。

中位:留学生を増やすために、留学生30万人計画を推進した

留学生30万人計画による留学生総数の推移

2008年に”留学生30万人計画”が発表されました。

留学生30万人計画の主な目的は、次の2つになります。

  • 2020年までに留学生数を30万人まで増やす
  • 卒業生のうち50%の方に日本の企業へ就職してもらう

なお、留学生は許可を受ければ、週28時間以内(長期休暇中は1日8時間以内、週40時間以内)のアルバイトをすることができます。

卒業後の活躍も期待されていますが、在学中もアルバイトという形で、日本の経済を支えてくれているのです。

現実問題として、即戦力となる高度人材を日本が誘致できるかというと、なかなか難しいのです。そこで、将来の高度人材候補を、学生の段階から日本に来てもらい、日本で育成しようとしているのです。

下位:単純労働である外国人ブルーワーカーの受入は認めない

技能実習制度で農業に従事するアジア人男性

日本政府の政策はかなり露骨です。

外国人に深く関係する法令に、”出入国管理及び難民認定法”(以下、入管法)があります。

入管法では、「単純労働を目的に、日本に滞在することは認めない」(該当するビザ・在留資格がない)としています。

MAKO
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つまり、下位のブルーワーカー層は、受け入れないという姿勢なのです。

日本が単純労働の外国人を受け入れない理由として、次の2点が頻繁に挙げられます。

  1. 日本人の雇用が奪われる可能性がある
  2. 日本の治安が悪化する可能性がある

①については、需要不足失業率がマイナス計上となっています。マクロ経済の観点からは、「完全雇用に達している」と認められますので、もはや論点にはなりません。

大変深刻なのは、②についてです。

多くの外国人ブルーワーカーは、日本人がやりたがらない3K(きつい・きたない・危険)職種に従事します。

工場で働く外国人労働者

多くの外国人ブルーワーカーは、出稼ぎ目的の人がほとんどですから、日本人より多少労働条件が悪くても、喜んで仕事をしてくれる傾向があるのです。

 

この状況は大変よろしくなく、日本人の外国人ブルーワーカーに対する、優位性=蔑視感情を醸成することになります。

工事現場で作業する外国人労働者

日本人の外国人ブルーワーカーに対する差別行動がエスカレートすると、外国人たちの中に反日感情が芽生え始めます。

 

すると、日本人に対する犯罪行為が徐々に増えていき、治安が悪化していくのです。

あなた
あなた
それはお前の想像だろ? 本当に治安が悪化するかどうかなんて、わからないじゃん!

…いえ、この流れは実際に起こったことを、忠実にお伝えしただけなんですよ。

ーーーはい、そうです。EUの移民問題です。

ヨーロッパの街中で物乞いをする移民外国人

EUでは日本に先立って、今お話ししたようなことが現実に起こってしまいました。

 

移民問題、人種差別問題、治安の悪化、そしてテローーー

これらは、政治情勢だけでなく、宗教や歴史など、様々な要素が重なった結果です。

ドイツのメルケル首相は、2004年と2010年に、次のような発言をしています。

多文化主義は完全に(見事に)失敗した」と。

たしかに、EUと日本とでは、文化や歴史などはまったく異なります。日本はEUと同じ道をたどらない、というご意見もあるでしょう。

MAKO
MAKO
だからといって、日本がEUの二の舞にならない、という保証はどこにもないのです。

日本政府が恐れるシナリオ

日本政府が恐れているシナリオは、外国人ブルーワーカーの定住化(特に不法滞在)による“雇用市場の均衡崩壊”“日本社会の治安悪化”です。

職を失い求める人々

もともと、日本が単純労働力の外国人ブルーワーカーを受け入れない、という方針を定めたのは、バブル崩壊後間もない頃のことです。

 

それから四半世紀が過ぎ、単純労働力として外国人ブルーワーカを受け入れる副作用も、EUという世界の大舞台で実証されました。

当初とは、だいぶ状況も変わっていますが、日本政府のスタンスは基本的に変わりません。

単純労働力としての外国人ブルーワーカーの受入は、日本としては認めない

「日本における外国人労働者の位置づけ」のまとめ

日本は生産労働人口が減少しているし、回復の見込みはない

☞外国人材の手を借りようとしている

日本は、外国人材を「上位・中位・下位」に分類し、対応も変えている

上位:高度専門職を創設して、定住(永住)を積極的に推進

中位:留学生を将来の高度専門職に育成することをミッションとする

下位:外国人労働者(ブルーカラー)受入は、絶対に認めない

MAKO
MAKO
次のブロックでは、この政策の結果、現状の日本がどうなっているのかを解説していきます。

2.日本で働く外国人労働者の正体は?

日本の工場で働いている外国人従業員たち
MAKO
MAKO
日本にはすでに多くの外国人労働者がいます。
KEY
KEY
ここでは、彼らの正体にスポットを当ててみまショウ。

(1)外国人労働者は増加の一途

日本で働く外国人労働者の増加を表す厚生労働省の調査資料

日本に来ている外国人労働者の数が初めて100万人を突破したのが2016(H28)年。

2017(H29)年には120万人を突破し、勢いはとどまることを知りません。労働者数そのものもさることながら、その伸長率にも勢いが感じられますよね。

続いて、120万人の外国人労働者の内訳に注目してみましょう。

外国人労働者の在留資格別内訳

「身分に基づく在留資格」とありますが、日本人と結婚したり、日本に移住してきた日系人の方をイメージしてください。基本的には、日本の社会で長く生活しようとしている外国人がほとんどです。

続いて「就労系の在留資格」で来日している外国人です。この人たちは、いわゆる”就労ビザ”で滞在している外国人で、「専門的・技術的分野の在留資格」を取得しています。

「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職 1 号・2 号」、「経営・管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「介護」、「技能」が該当します。

そして注目していただきたいのが、「技能実習」と「留学」ですね。

技能実習制度は1993年に、日本の最先端技術をアジア各国へ移転し、国際貢献をするために設けた制度でした。とても大切な部分なのですが、彼らは「実習生」であって「労働者」ではありません。本来は、非就労系ビザで来日している外国人なのです。

ところが、国の公式資料で「外国人労働者」として分類されているわけです。これが日本社会の闇深いところですね。

勉学を目的として来日し、生活費をまかなうためにアルバイトをしている「留学生」も、非就労系ビザです。実習生と同様、本来は労働者としてカウントすべきではありません。

(2)非就労系ビザの外国人労働者が増加している理由は?

工事現場で働く外国人労働者

3K職種(単純労働)での人手不足

先ほど、日本では人手不足が進んでいるといいましたが、特に3K分野(きつい・きたない・危険)での人手不足は深刻です。

主に建設業や製造業などが該当しますが、近年ではコンビニや農業、介護なども同じ系列で語られることが多いですね。

要するに、困難な労働に見合った対価が得られない職業ということです。

求人を出しても人が応募してこず、落ち込む経営者夫婦

こうした職業の場合、都市部を離れた場所での就業となると、求人を出しても出しても、一切応募がないような状況もめずらしくありません。

 

そこで、出稼ぎ目的でやってくる外国人労働者に、白羽の矢が立つわけです。

3K職種(単純労働)に該当する在留資格がない!

ところが、日本は長らく「単純労働の外国人ブルーワーカーを受け入れない」立場をとってきました。

“就労ビザ”として認められているのは、「専門的・技術的分野の在留資格」だけです。3K職種として働ける在留資格が存在しません。

日本の雇用主
日本の雇用主
人手不足が深刻なんだ。何とかして外国人労働者を雇えないだろうか?
外国人労働者
外国人労働者
多少きつい仕事でも、ちゃんとお金がもらえるなら、日本で仕事がしたいヨ。

ここで注目をされたのが、「技能実習」と「留学」という2つの在留資格だったわけです。

非就労系ビザの”技能実習”と”留学”

出稼ぎの目的で来日している外国人労働者

技能実習は、現状、日本人の労働力不足を補うための手段に成り下がっています。

国際貢献を考えて、技能実習生を受けいれている企業は、ほぼ皆無でしょう。また、実習生自身も、日本の技術を習得したい!とは考えておらず、出稼ぎ目的がほぼ全員のはずです。

留学については多少ましで、勉強目的に来日する学生もかなり多いです。

しかし、一部の国からの留学生の中には、「出稼ぎ留学生」といわれる人たちも含まれます。1週間に勤務できる28時間という制限を超えて、アルバイトに従事し、肝心の勉強はほとんどしない学生たちです。

MAKO
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技能実習生・留学生という「非就労系ビザで来日」した人たちが、外国人労働者の半数近くを占めているのが、日本社会の現状なのです。

(3)まとめ

3K職種での人手不足が進んでいる

☞3K職種で働ける在留資格がない!

☞仕方がないので、技能実習と留学を利用して、外国人たちが来日

技能実習と留学は、制度的に欠陥を抱えている

☞技能実習は、本来の技術移転という目的は、形骸化しており、実質、単純労働の外国者向けの在留資格になっている

☞留学は、アルバイトによって稼ぎを得ようとする外国人が紛れている

次のブロックでは、技能実習制度の問題点を明らかにします。留学については、また別の記事に譲ることにします。

なぜならば、技能実習の問題点を解決するのが、「特定技能」という在留資格だからです。

3.外国人技能実習制度における労働問題

技能実習生として来日している出稼ぎ目的の外国人労働者

(1)本来は国際貢献プログラム ≠ 就労ビザ

技能実習は、本来は国際貢献プログラムです。開発途上国等の外国人を一定期間日本で受け入れ、適切なOJTを通じた技術移転を目的としています。

また、技能実習法の基本理念では、下記のような内容がうたわれています。

第3条2項 技能実習は、労働力の需給の調整の手段として行われてはならない

引用:外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律(e-Gov)

MAKO
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つまり、人手不足の対策としての労働力確保として、技能実習制度を利用してはいけないということです。
KEY
KEY
外国人を労働力として期待してはいけない、ということを言っているんですネ!
労働契約書にサインする外国人技能実習生

それにもかかわらず、なぜ技能実習生は、受入企業と雇用契約を結ぶのでしょうか?

これには、今の技能実習制度ができる2010年以前の状況が大きく関係しています。当時、来日1年目の外国人は”研修生”として受けれていたんです。

研修生を受け入れる日本企業のほとんどは零細企業だったのですが、「研修生だから」という名目でわずかな賃金しか与えない企業が、非常に多かったのです。技能実習制度は、国際貢献プログラムではなく、手軽に安価な労働力を手に入れる制度に成り下がったのです。

このような状況が問題視され、”研修生”として受け入れるのではなく、受入機関との間で雇用契約を結び、労働基準法を適用して受け入れる制度へと変更されました。

(2)労働者としての権利は保障されていない

とはいえ、技能実習生たちの「労働者としての権利」が保証されているかというとそうではありません。

信じられないかもしれませんが、受入機関が一度決まってしまうと、いかなる事情があっても、その後の変更は不可能なんですよ。

つまり、自由な転職が認められていないのです。普通であれば、考えられないことですよね。

MAKO
MAKO
母国で雇用契約を結んでから、来日するんですよ。
KEY
KEY
だから、来日するまでどんな企業で実習を受けるのかは、わかりまセン。

また、受入機関は技能実習生の態度に問題があれば、彼らを母国に強制送還することも認められています。

通常、このようなケースでは、職場環境の改善を上長に訴えると思いますが、それをすると、強制的に帰国させられる可能性があるということです。

KEY
KEY
ビックリするくらい、外国人が不利な立場ですネ…!
セクハラやパワハラにおびえる外国人技能実習生

中には素晴らしい外国人の運用をしている企業もありますが、多くの受入機関では、いまだに外国人労働者に対する搾取が行われています。

 

劣悪な労働環境、セクハラやパワハラ、暴力や暴行、低賃金かつ賃金の未払いなど、同じ人間の所業だとは信じがたいことが、この日本で行われているのです。

事例1 出来高制の給与

粛々と単純作業をこなす技能実習生

技能実習制度では、出来高制での賃金設定は認められていません。技術の習得をしているのに、出来不出来による格差が生じるのはおかしいからです。

ところが、現実的には、出来高制による賃金制度を導入し、時給換算するとわずか200~300円程度で外国人を働かせている企業もたくさん存在します。

訴えようにも、雇用契約書が実習生に手渡されていないことがほとんどです。

事例2 凄惨な労働環境

単純作業を続けて、手がボロボロになった技能実習生

1日平均15時間労働、休憩時間は20分。残業代や深夜手当はなく、休日も月に1回あれば良い方。

部屋は古く汚れ、虫(とりわけゴキブリ)の棲み処と化しており、もちろん、冷暖房設備などは一切ない。

加えてパスポートは取り上げられ、様々な名目で賃金が減らされていき、手取りは6万円。職場では、罵声を浴びせられ、パワーハラスメントを受け続けた。

…これ、実話です。とある中国人実習生の日記内容です。

この日記が2011年に国連の人権理事会へ提出され、翌年、アメリカ国務省の人身取引報告書で、日本の技能実習制度は痛烈に批判されました。

厚生労働省が、2017年に外国人技能実習生を受け入れた企業を視察しました。その結果、5966社のうち4226社(70.8%)で労働基準関係法令違反が認められました。

参考:厚生労働省HP『外国人技能実習生の実習実施者に対する監督指導、送検等の状況(平成29年)』

職場の変更が認められない母国への強制送還制度という2つの構造的欠陥により、技能実習制度では、外国人が圧倒的に弱い立場にあるのです。

受入機関がコンプライアンスを遵守しない企業だった場合、技能実習生が選択できる行動は2つだけです。

  • 帰国する
  • 我慢する(2017年以降は、相談するという選択肢もできた)

しかし、技能実習生は、次に紹介する理由により、帰国という選択肢を持つことは、実質的に不可能なんです。

(3)ブローカーの暗躍……仲介料、保証金

悪質な送出し機関が電話で恫喝している

現地で外国人を募集し、日本語等の基礎教育を施したうえ、日本の管理団体へ技能実習生を送る「送出機関(おくりだしきかん)」があります。

いわゆるブローカー的な存在なわけですが、中には悪質なブローカーが紛れているのです。

悪質なブローカーは、様々な名目で実習生からお金を巻き上げます。以下の2種類の金銭を徴収されることが多いようです。

  • 仲介料その他 ☞約100万円
  • 保証金 ☞約300万円(途中で逃げたら戻ってこない)

 

KEY
KEY
…仲介料だけで、中国の一般的な都市企業の平均年収ですヨ…

つまり、ほとんどの技能実習生は、大きな借金を背負って日本にやってきているのです。現地の家族も、協力して大きな借金をしているケースだって珍しくありませんよ。

日本で働けば、借金を返して貯金もできるーーーそんな思いで来日しているんです。

MAKO
MAKO
借金を返さないまま帰国する、なんていう選択肢は持てませんよね。

(4)一定期間後は帰国しなければならない

実習期間が終了し、母国に帰国する外国人技能実習生

技能実習制度は、「海外への技術移転」を建前としています。

技能実習生には、母国で習得した技術を広めてもらわなければなりません。ですから、技能実習ビザは、最長5年までしか更新できないのです。

また、既に技術を習得していますから、技能実習生として2度目の来日をすることも、原則として認められていません。

MAKO
MAKO
つまり、技能実習ビザを使って日本で働けるのは、最長でも5年間ということです。

ではもし、悪質な受入企業にあたってしまい、借金を返済することなく、帰国日が近づいたら彼らはどうするでしょうか? あなただったら、おとなしく帰国しますか?

…犯罪に手を染めたり、危ない橋を渡ったたり……日本に残り続けようとする外国人が相当数いることは、想像できますよね。

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(5)まとめ

技能実習制度は、実習生として外国人を受け入れる国際貢献プログラム

☞しかし、雇用契約を結ぶという矛盾した制度運営

技能実習制度は、実習生の立場が圧倒的に弱い

☞就業先の変更不可+強制帰国

☞外国人の人権が守られていない

技能実習生は、借金を負って来日している

☞帰国の選択肢はない

☞ガマンor失踪(偽装結婚・不法滞在)

技能実習生は、日本に定住させる必要がない単純労働力である。

 

ーーー数々の問題点が指摘されてきた技能実習制度。

それでも政府が、技能実習制度をここまで存続させた理由は、「外国人単純労働者」を日本に定住させることなく、受け入れることができる制度だったからです。

外国人労働者が経済発展を支えているイメージ

しかし、ここにきて技能実習制度を見直す必要が出てきました。

なぜならば、労働者不足が先進諸国における共通的な社会課題となっており、ボーダーレスな外国人労働者の争奪戦が始まっているためです。

本質的には”単純労働者”である外国人を、”実習生”という名目で受け入れる欺瞞的な制度。しかも、基本的な権利すら保障されない搾取的な制度。

そのような制度では、外国人労働者を日本に呼び寄せること自体が困難であり、国際間の競争に打ち勝つことができないのです。

アジアの経済発展に伴い、日本の圧倒的優位性は失われつつあります。

労働者が、「より良い条件の下で働きたい」と考えるのは当たり前です。

制度を根本から見直されなければ、外国人労働者からそっぽを向かれることになりかねないのです。

MAKO
MAKO
技能実習制度をきちんと運用すれば、国際貢献に資するプロジェクトになったと思うし、長期的には日本の国益にかなったはずだと思います。

技能実習制度は、ルールをどのように活用するのかによって、よいプロジェクトにも、悪いプロジェクトにもなり得(え)、制度に対する評価が180度変わるものでしょう。

残念ながら、日本は技能実習制度の理念を浸透させ、使いこなすことができなかった。そのレベルまで、日本の官民の文明レベルが達しなかった。このように自省するべきではないでしょうか?

このままでは外国人労働者が日本にやってこなくなってしまう。

そんな中、安倍総理はいよいよ大きな決断をします。

単純分野の「外国人労働者」をきちんと「労働者」として受入れようーーー

4.そして……新・在留資格「特定技能」

高層マンションの工事現場で働く特定技能のアジア人男性
MAKO
MAKO
2018年11月2日に新在留資格「特定技能」について、閣議決定がされました。

特定技能による単純分野の外国人労働者の受入は、初年度に4万人、2025年までに50万人を予定しています。

(1)新・在留資格「特定技能」の制度概要

在留資格「特定技能」で来日し、工場で働く外国人労働者たち
MAKO
MAKO
ここでは、新在留資格「特定技能」についての概要をお伝えしていきます。
KEY
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ここまでの内容と合わせて読むと、理解しやすいと思いますヨ♪

単純労働分野での外国人に就労ビザを交付する!

政府は2日、単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定した。人手不足の分野で一定の技能を持つ人を対象に新たな在留資格「特定技能」を来年4月に創設する。経済界の要望に応じ、これまで認めてこなかった単純労働受け入れにカジを切った。日本の入国管理政策の大きな転換で、政府与党は今国会での成立をめざす。(2018/11/2付 日本経済新聞(電子版)より引用)

ついに単純労働分野での外国人労働者の受入が、正式に始まります。

あなた
あなた
おいおい。今までだって技能実習では単純労働力としての外国人を受け入れていたじゃないか?

実態はそうなのですが、建前は違うのです。技能実習法では、単純作業の反復は技術の習得ではないと(形式上)禁止していました。また、技能実習制度では、“労働者”としてではなく”実習生”として外国人を受け入れていました。

MAKO
MAKO
ですから「これまで認めてこなかった」という表現になるんです。

従来との大きな違いは、単純労働分野の外国人に対して、“技能実習”という「非就労ビザ」を与えるのか、それとも“特定技能”という「就労ビザ」を与えるのかという違いです。

ポイント1

単純労働分野の外国人受入れを国が認め、”労働者”として”就労ビザ”を交付する

受入業種は14種に限定

受け入れは生産性向上や女性、高齢者など日本人の労働者を確保する努力をしても人材が足りない分野に限定。具体的には農業や介護、建設、造船、宿泊など14業種を想定している。(2018/11/2付 日本経済新聞(電子版)より引用)

前半は建前ですね。先ほどもお伝えした通り、生産性の向上や、女性活用等も進めますが、政府が最も効率が良いと考えている打開策は外国人の受入です。外国人受入の方が優先的にすすめられるのは間違いありません。

受入の14業種ですが、単純に「技能実習で受入数が多い業種=労働力が不足している業種」として選定していますね。

ポイント2

基本的には、技能実習で受入数が多い14業種を選んでいる。

「介護」「建設」「宿泊」「農業」「造船」「外食」「ビルクリーニング」「漁業」「飲食料品製造業」「自動車整備業」「航空業」「素形材産業」「産業機械製造」「電子・電気機器関連産業」

特定技能1号・2号

入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける。「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に就労可能な「特定技能1号」を与える。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られる。在留期間は通算5年で、家族の帯同は認めない。

さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人には「特定技能2号」の資格を与える。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限はない。配偶者や子どもなどの家族の帯同も認める。更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。10年の滞在で永住権の取得要件の一つを満たし、将来の永住にも道が開ける。(2018/11/2付 日本経済新聞(電子版)より引用)

特定技能1号・2号の特徴を比較したイラスト
MAKO
MAKO
在留資格「特定技能」は、1号・2号の2種類あることが明らかになっています。

「特定技能1号」には、2つの側面があります。

1.技能実習5年という期限の、実質的な延長

2.新しい単純労働力の確保

ポイント3

特定技能では、2つのアプローチで、単純労働分野の外国人を受け入れる

  • 技能実習を終えた外国人
  • 海外からの新規受け入れ(新しい日本語能力試験の活用)
MAKO
MAKO
そして、物議を醸しているのが「特定技能2号」ですね。

更新回数が無制限ですから、単純労働者の長期滞在につながり、いずれ永住権の取得要件も満たすのではないか?という懸念です。

さらに、家族の帯同まで認めてしまっていますので、これは実質的な移民政策ではないのか?という声があがっているわけです。

移民政策かどうかは、「移民」をどのように定義づけるのかによって変わってきます。

日本の立場は、「「移民」とは、入国の時点でいわゆる永住権を有する者であり、就労目的の在留資格による受入れは「移民」には当たらない。」というものです。自民党「「共生の時代」に向けた外国人労働者受入れの基本的考え方 」より)

一方、IOM(国際移住機関)では、「1年を超える居住国の変更」を移民として考えています。

移民として入国する外国人たち

はっきり言うと、移民政策かどうかを議論するのは愚の骨頂です。

定義によって変わるのだから、時間の無駄だし、まったく意味がない。

そんなことよりも、長期における単純労働分野の外国人受入影響について、真剣に議論すべきではないでしょうか。

特定技能2号の対象職種は5業種のみ!?

特定技能1号では、14業種が対象となりましたが、特定技能2号では、以下の5業種のみが対象となることを想定しています。

  • 建設
  • 造船
  • 宿泊
  • 航空業
  • 自動車整備業
特定技能2号の対象となる造船・自動車整備・建設・宿泊・航空業

また、特定技能2号に関しては、次のような答弁がありました。

首相は「特定技能2号」を取得できる業種について「かなり絞られる」と語り、取得の「ハードルはかなり高いものになる」との見解を示した。資格の更新には「日本での活動状況が厳格に審査される」と指摘し「特定技能の在留資格を得さえすれば、永住が認められるものではない」と強調した。(2018/11/5付 日本経済新聞(電子版)より引用)

これは、日本政府としては極めて当たり前の立場で、至極当然の結論です。

先ほど説明いたしましたが、日本政府が恐れているのは、「単純労働力の外国人が長期滞在(特に不法滞在)すること」なのです。だからこそ、今まで技能実習制度を使って、最長5年で強制的に帰国させていたわけですよね。

にもかかわらず、あえてそこにぶっこむようなことを、政府がするはずないのです。

私個人の考えですが、これは外国人労働者を誘致するための甘い罠だと思っています。実際には、ほとんど許可するつもりなんてないのではないでしょうか?

ポイント4

特定技能2号の業種は5つに絞られるうえ、その認定も相当厳しいものになる

かなり投稿が滞りましたので、中途ではありますが、いったんここで投稿します!

(追記予定)

・特定技能と技能実習の比較(仮)

・介護分野における外国人の受入に見る外国人材の流れ(仮)

・近未来における外国人材との共生社会を成功させるために(仮)